はじめに
年末が近づくと、「今年のNISA枠が余っている」と焦りを感じる方も多いのではないでしょうか。
ですが、ちょっと待ってください。非課税枠を埋めることだけを目的に、慌てて追加投資してしまうと、NISA本来のメリットを十分に活かせない可能性があります。
今回は、年末に見落としがちな注意点を整理し、来年以降の運用をより効果的に進めるための方法をお伝えします。
「枠を埋めなきゃ」は危険! 焦り投資が生むリスク
非課税枠は、「使い切らないともったいない」と思っていませんか?
確かに新NISAでは、年間で成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円=合計360万円まで投資が可能です。毎年この上限まで活用すれば、生涯投資上限額1,800万円も最短5年で埋めることができます。
しかし、「早く埋める=最適」とは限りません。年末は、クリスマスや帰省、お正月準備などで出費が増える時期。短期間に多額を投じると、生活資金を圧迫するうえ、相場変動の影響を強く受けるリスクがあります。
NISAは長期・分散・積立を前提とした制度です。非課税枠を埋めることを目的とするのではなく、「何のために・どのくらいの期間・いくらまで」投資するのかを明確にすることが大切です。
「つみたて投資枠」は月10万円が上限
ここからは、年末に押さえておきたいNISA制度のポイントを確認していきましょう。
資金に余裕があり、年末にまとめて投資したい場合は注意が必要です。成長投資枠ならスポット購入が可能ですが、つみたて投資枠は、月あたり10万円が上限と決まっています。そのため、仮につみたて投資枠が50万円余っているから、12月にまとめて設定しようとしても、通常設定では実行できません。
もし年末につみたて投資枠で10万円を超える金額を投資したい場合は、あらかじめ「ボーナス月の増額設定」を行っておくことが必要です。たとえば、12月をボーナス月として設定しておけば、一時的に積立上限を引き上げることもできます。
設定日と反映日のタイムラグに注意
年末は取引スケジュールが前倒しになるため、設定日と実際の反映日にずれが生じやすい時期です。証券会社ごとに締め切り日は異なりますが、参考として楽天証券のスケジュールを確認してみましょう。
・クレジットカード決済(楽天カード):11月12日までの設定で12月分に反映
・楽天キャッシュ決済:
・積立指定日が24〜28日の場合 → 10月12日までに設定
・積立指定日が1〜23日の場合 → 11月12日までに設定
・証券口座引き落とし:12月22日までの設定で、12月23日指定分に反映
【スポット購入】
・国内株式(成長投資枠): 12月26日15:30まで
・外国株式(成長投資枠):12月24日〜26日頃まで(市場によって異なる)
・投資信託:12月18日〜25日頃まで(営業日により前後)
このように、商品や取引方法によって締め切り日は異なります。
年末ぎりぎりのタイミングで設定すると、翌年分として扱われてしまう可能性があるため、クレジットカード決済など特に締め切りが早いものは、各証券会社のスケジュールを事前に確認し、余裕をもって手続きしましょう。