はじめに

楽天証券が運営管理機関となっている、楽天証券iDeCoの運用商品入替の時期が迫っています。今回、除外対象となっているファンドの本数は9本。除外対象ファンドを保有もしくは掛金拠出をしている加入者には、10月下旬から順次、除外に関する通知がメール等で届いているはずです。除外に同意できない場合は、「運用商品除外に関する回答書」で、その意思表示をする必要があります。


何もしなければ自動的に同意とみなされる

「運用商品除外に関する回答書」は、WEB上に掲載されているフォーマット上で回答する形式です。今回、除外候補とされたファンド名の横に、チェックを入れられるようになっているので、除外に同意できない場合は、そこにチェックを入れ、加入者口座番号と氏名を記入して送信します。

除外に同意できないという意思表示を行える期限は、年内いっぱいです。厳密には、12月31日23時59分までが期限とされているので、自分が掛金を拠出している、つまりiDeCoで積み立てているファンドが除外対象に含まれていて、今後も積立を継続していきたいと思う場合は、「除外しないて欲しい」という意志を表示する必要があります。そして、そのためには前述したフォーマットに必要事項を記入し、送信する必要があります。

もちろん、自分が除外拒否の意思表示をすれば、除外されずに済むということではありません。そのファンドで積み立てている加入者全員のうち、3分の1を超える意思表示がなされた場合のみ、除外されなくなります。

逆に、自分が何も意思表示をしなければ、それは自動的に同意したこととみなされ、その加入者の数が3分の2以上になると、自動的に除外されてしまいます。

何もしなければ自動的に除外対象になるという点は、いささか疑問が残ります。メールで除外の通知が来ても、開封しない人は少なくないと思われますし、わざわざ意思表示をするのが面倒だという人もいるかも知れません。「何もしなければ自動的に除外対象になる」という仕組みは、特定のファンドを除外したいと考えている側にとって、極めて有利に働くのです。

除外・入替の問題点

問題は、自分の老後資産を形成するために長期保有しようと選んだファンドが、除外された場合です。そのファンドで運用していた人にとっては、かなり不都合なことになります。

除外された時点で解約し、他のファンドに乗り換える必要はまったくなく、保有したまま運用を継続することはできますが、新しい資金の拠出ができなくなります。

楽天証券iDeCoで今回、行われる除外についていうと、2026年4月上旬以降、除外されたファンドについては新規買付が停止されるのと同時に、入替によって新たに追加されるファンドの新規買付が開始されますが、現時点で除外ファンドを保有、積立を行っている場合、それを保有することで運用を継続することは可能です。

とはいえ、除外されてしまうと、自分がこれまでコツコツと積立を続けてきたファンドでの資産形成ができなくなります。そのため、運用商品の組み合わせや掛金の割合を見直す配分変更や、これまで積み立ててきたファンドの資産残高の一部もしくは全部を解約して、他のファンドを買うスイッチングが必要になります。

また、それらを行うにしても、これまで運用してきたファンドとまったく同一のプロファイルを持つファンドが、新たに追加されるかどうかは分かりません。

たとえば楽天証券iDeCoにおける今回の除外では、セゾン投信が運用する「セゾン資産形成の達人ファンド」が除外対象となっていますが、新たに追加される予定のファンドを見ると、同一の性質を有すると思われるファンドは1本もありません。つまり、セゾン資産形成の達人ファンドが持っている運用哲学、運用方針に賛同して、あえてこのファンドを選んで資金を拠出し続けてきた加入者は、拠出する先が見つけられずに、難民化する恐れがあるのです。

もっというと、楽天証券iDeCoを通じて、セゾン資産形成の達人ファンドに拠出している加入者は、相当数に上ると見られています。その人たちが難民化するとしたら、これはなかなかの混乱が生じることになるかも知れません。

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