はじめに

年収 × 貯蓄でみるケーススタディ

同じ貯蓄額でも、年収や家族構成によって「毎月どれくらい投資に回せるか」は変わります。年収と貯蓄の組み合わせ別に、3つのケースを見ていきましょう。

① 単身会社員(30代、年収500万円)

一人暮らしで、そろそろ将来のお金も考えたい人をイメージしてみましょう。毎月の生活費は22万円、毎月3万円を先取り貯蓄しています。現在の貯蓄残高は200万円です。

生活費22万円 × 6ヵ月=132万円なので、6ヵ月分の生活防衛資金はすでに確保できています。そこで、これまでの貯蓄3万円のうち7割の2万円は現金で貯め続け、残り3割の1万円をNISAのつみたて投資枠に回します。一気に増やそうとせず、「暮らしを守りながら少額で投資の習慣をつける」ことがポイントです。

② 共働き世帯(30代、世帯年収900万、子どもなし)

ふたりとも会社員で、今は子どもがいない共働き世帯のケースです。毎月の生活費は38万円、毎月7万円を先取り貯蓄しています。現在の貯蓄残高は500万円です。

生活費38万円 × 6ヵ月=228万円なので、6ヵ月分の生活防衛資金はすでに確保できています。ただ、近いうちに子どもを持つ予定があれば、生活費38万円 × 12ヵ月=456万円を目安にしておくと安心です。そこで、これまでの貯蓄7万円のうち7割の5万円は現金で貯めて、残り3割の2万円をNISAやiDeCoの積立投資に回します。「二人暮らしのうちにどこまで防衛資金を厚くしておくか」を意識しながら、定期的にライフプランと資金計画を見直していきましょう。

③ 子育て世帯(40代、世帯年収700万、子ども1人)

子どもが1人いて、教育費や住宅ローンも気になり始める40代を考えてみましょう。毎月の生活費は35万円、毎月6万円を先取り貯蓄しています。現在の貯蓄残高は300万円です。

子どもがいる家庭では、生活費35万円 × 12ヵ月=420万円を生活防衛資金の目安と考えたいところです。現状は約8.5ヵ月分なので、少し足りない状態です。そこで、これまでの貯蓄6万円のうち8割の5万円は現金で積み立て、残り2割の1万円をNISAやiDeCoの積立投資に回します。約2年間このペースを続ければ、生活防衛資金の目標額に近づきます。10年以内に生活費が大きく増える見込みがなければ、投資に回す割合を少しずつ増やしていきましょう。

子育て期は、「守り」と「将来のための積立」を両立させる時期です。防衛資金の残高と、教育費・住宅ローンの予定を年に一度見直すことを習慣にしてみてください。

年収が高ければ、すべて投資に回してよい訳ではありません。大切なのは、生活防衛資金が確保されているかどうか、毎月どれくらいの金額を無理なく投資に回せるかです。貯蓄と投資の割合は、家族構成の変化や生活費の増減に合わせて、定期的に見直していきましょう。

自分の暮らしに合ったペースで資産を増やすことが大切

「うちは投資なんて無理かも」と感じるとき、その裏側には、日々の暮らしを守りたい気持ちがあるかもしれません。だからこそ、平均値に一喜一憂するのではなく、「生活費が何ヵ月分あれば安心か」「今どれくらい準備できているか」といった自分軸の物差しを持つことが大切です。

家計にもステージごとの役割があります。生活防衛資金が足りない時期は、貯蓄を主役にしながら、ほんの少しだけ投資の習慣をつけましょう。十分に貯蓄を用意できたら、投資の比率を徐々に上げていきます。平均ではなく、自分の暮らしに合ったペースで資産を増やしましょう。

今日決めた小さなルールが、将来の安心につながっていきます。生活防衛資金が6ヵ月分に近づいてきたら、月1万円を自動投資に回すなど、小さな一歩から始めてみませんか。

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