はじめに
一時払終身保険の5つのメリット
①預金より増えやすい返戻率
商品によりますが、契約当初から返戻率が高めに設定されるものや、契約後数年で元本を上回るものもあります。置いておくだけで少しずつ増えるという性質は、低金利の預金にはない魅力です。
現在、都市銀行の定期預金金利は年0.25%~0.4%程度ですが、円建て一時払終身保険では年1%を超える利率の商品も見られます。注意点を理解したうえであれば、有力な選択肢となるでしょう。
②入金直後から、まとまった死亡保障を確保
一時払終身保険は、契約したその日から数百万円〜数千万円の死亡保障が確保されます。もしもの時、家族に確実にお金を残すことができ、「保障を買う」という意味でもメリットがあります。
③相続対策として有効
生命保険は、死亡保険金受取時に「500万円 × 法定相続人」の非課税枠があります。
預金のまま相続すると課税対象になる資金も、保険にすることで非課税枠を活用でき、相続税対策として有効です。
また、保険金は請求手続きが比較的スムーズで、亡くなった本人の銀行口座が凍結されても、あらかじめ指定された死亡保険金受取人の口座へ振込まれます。そのため、資金が受け取りやすい点も大きな利点です。
④市場変動に左右されにくい安定性
株や投資信託のように価格変動の波を受けにくく、資産を安定的に保持したい人に向いています。特に高齢の方にとっては、難しい運用をせずに済む点が魅力です。ただし、一部の商品では、積立金を債券で運用する影響で市場価格調整が解約返戻金に反映される商品もあるため、加入時には注意が必要です。
⑤認知症対策にも
認知症になると、銀行の手続きが非常に複雑になります。一方、保険は指定された受取人がいれば、請求が比較的容易です。資金管理をシンプルにしておきたい人にとって、有効な備えとなります。
注意点・デメリットも知っておこう
メリットが多い一時払終身保険ですが、デメリットも把握しておきましょう。
①元本割れ期間がある
ほとんどの終身保険は、契約直後から数年は解約返戻金が払込保険料を下回ります。短期で使う予定のある資金には向きません。数年以内の解約は損失につながるケースが多く、「長期保有が前提」で、少なくとも10年程度は解約しなくても問題ない資金で検討しましょう。
②医的審査がある商品も
健康状態の告知が不要な「無選択型」や、入院していないなどの簡単な告知のみで加入できる「簡易告知型」も増えています。健康状態によっては、加入できない場合もあります。
③外貨建てはリスクが大きい
外貨建て商品は、為替変動の影響を強く受けるため、円建てと比べて増減の振れ幅が大きい点に注意が必要です。将来使う時期が決まっている資金(学資目的など)には、不向きかもしれません。
④資産の全部を預けるものではない
あくまで余剰資金での活用が前提となります。銀行預金には不測の時に利用できる資金を置いておく必要があります。また、資産運用という観点からは、拡充されたNISAなどがおすすめです。
どんな人に向いている?
次のような人は、一時払終身保険を検討してみてもよいかもしれません。
①300万〜1000万円程度の余剰資金の置き場所に悩んでいる
②預金ではほとんど増えない状況に不満がある
③相続対策として効率よく資産を残したい
④シンプルで安全性の高い資産を保有したい
⑤高齢になり、複雑な運用は避けたい
このような人には、一時払終身保険の特徴が強くマッチします。
金利上昇により、一時払終身保険は「増やす」「残す」「守る」を兼ね備えた魅力的な選択肢になりつつあります。預金だけではお金が育ちにくい環境の中、余剰資金の置き所としての保険の価値はこれまで以上に高まっています。
もちろん、短期の解約リスクなどの注意点はありますが、長期的な資金管理と相続対策を比較的簡単な方法で考えたい人にとって、一時払終身保険は心強い味方になるでしょう。保険料を払いすぎていませんか? お金のプロがあなたにあった保険を診断 [by MoneyForward HOME]