はじめに

2025年の日本の株式相場は、半導体や軍事・防衛関連株などに牽引され、平均株価は大幅に上昇しました。2026年はどのようなテーマが注目されるでしょうか。ここでは、国策をベースに20の注目テーマをピックアップ。そこから5つのテーマを深掘りしていきます。前編では「半導体」と「電力・エネルギー」を取り上げました。後編は残りの3テーマと、いま株式相場が抱える3つのリスクについても考察します。

前編:「国策に売りなし」2026年の主役株20テーマから5つを厳選! 有望相場の本命を探る


法律で軍事関連企業の収益力が向上

【軍事・防衛、造船、サイバーセキュリティ】
2025年、人気テーマのひとつとして株式相場を牽引した「軍事・防衛」。半導体同様、このテーマも引き続き2026年相場を引っ張るテーマのひとつになりそうです。背景に、防衛費の増加があることは言うまでもないでしょう。軍事・防衛は、2025年の主力テーマのひとつだったこともあって、「なんだ、防衛か。もう知ってるよ」などと感じる読者がいるかもしれません。ここでは、「なぜ2026年も有望テーマであり続けるのか」の理由と、「関連株のすそ野の広がり」についても触れます。

防衛関係予算は、2025年度の8兆7005億円から、2026年度は前年度比3.8%増の9兆353億円が見込まれています。政府は、岸田文雄政権時から防衛費を対GDP比2%まで増額する目標を掲げていましたが、高市政権は1兆1000億円の防衛関連費用を2025年度の補正予算に計上。これによって、2027年度の目標だった「防衛費の対GDP比2%」を2年前倒しで達成することになります。前倒しは、昨今の中国と台湾を巡る情勢の緊迫化と、トランプ大統領からの防衛費増額の圧力が主な要因でしょう。

注目は、2025年度と同様、防衛関連事業は高収益が見込まれること。2023年10月に施行された「防衛生産基盤強化法」によって、軍事・防衛関連機器の想定営業利益率の目安が、従来の8%から15%へと引き上げられているからです。当然、関連機器の発注元は政府です。昨今、原材料価格の高騰によって収益が低迷する企業が後を絶ちませんが、政府が「防衛関連製品に関しては、ちゃんと利益が出るような価格設定にしなさい」とした以上、関連企業は原材料高騰をスムーズに製品価格へと反映させることができます。これも、防衛関連銘柄が注目できる理由のひとつです。

「防衛生産基盤強化法」は、「日本の防衛力そのものである防衛生産・技術基盤を強化し、防衛産業による装備品等の安定的な製造等を確保するため(法令の原文ママ)」に施行されました。ここでいう「装備品等」は、同法で「自衛隊が使用する装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品(燃料、被服、洗濯などの日用品)」と明確に定義付けられています。つまり、自衛隊が使う品すべてが該当するということ。これには、軍事機密保持の観点から、自衛隊に納品する企業のサイバーセキュリティ強化費用も含まれます。この点で、前編で紹介した注目20テーマの中の「サイバーセキュリティ」も注目テーマとして挙げられそうです。

主力銘柄以外にも買いが広がる

もっとも、2025年、三菱重工や川崎重工、IHIなど主力関連銘柄の株価は基本的に右肩上がりとなっており、「割安感」「上値余地」には乏しいかもしれません。すでに主力の関連銘柄を保有している場合、新規の買いは、タイミングによってはハイリスクと言わざるを得ません。

主力の防衛関連株に関しては、足元のように、26週移動平均線に接近またはタッチする局面での押し目買いが有効と思われます。また、同平均線を明確に下回ってきたら一旦撤退し、再度同平均線を上回るまで待機するのが無難でしょう。ただ、主力銘柄以外では、まだPER(株価収益率)が一桁~20倍台や、株価が3桁あるいは1000~3000円台の銘柄はあるので、2026年はこうした銘柄にも買いのすそ野が広がる可能性が高いと思われます。

その他、軍事・防衛関連として注目できるのが、「造船」と前述の「サイバーセキュリティ」です。日本の造船業は、1990年代は建造量ベースで世界シェアの5割程度を握る、世界でも有数の産業でしたが、それ以降は衰退の一途をたどり、現在、シェアは1割程度にまで落ち込んでしまいました。しかし、政府は造船ドック建設への支援を打ち出すなど「造船業の再生」に乗り出しており、2026年は造船が半導体、防衛とともに、主力テーマとして相場を牽引する展開が予想されます。当然、海上自衛隊向けの船舶については、前述の「防衛生産基盤強化法」の対象になるため、高利益率を確保できる可能性が高いでしょう。そう考えると、船舶の部品や素材、塗料などにも買いが波及する公算があります。

サイバーセキュリティについては、高市政権がその重要性について指摘しているにも関わらず、まだ買いの手が及んでいない銘柄が少なくありません。そのため、2026年は、主力の関連銘柄を中心に人気化していく展開が予想されます。まだ、時価総額が小さい銘柄も散見されるため、この中から株価が数倍高になるようなスター銘柄が誕生するかもしれません。ただし、「時価総額が小さい=少しの売り・買いで株価が乱高下しやすい=ハイリスク」であるため、売買のタイミングには要注意です。

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