はじめに

近年、「負動産」という言葉を目にする機会が増えてきました。一般的には、相続によって残された使いみちのない空き家や遊休地を指すことが多いですが、実は負動産はそれだけにはとどまりません。

例えば離婚といった場面のほか、関係性が良好な夫婦・親子・親族間の不動産共有によっても、多くの負動産が発生しています。これらは、立地環境や不動産の種類といった、不動産そのものに起因するものではなく、所有者の状況や関係性に起因して、手放すことも利用することも難しく、管理負担が重くのしかかるリスクがあります。

この記事では、不動産の共有名義がもたらす負動産問題の実態を詳細にご紹介するとともに、法律的な整理方法、トラブル回避策、現実的な解決手段について解説します。


負動産化する共有名義不動産の現状と課題

共有名義の不動産は、まずは財産分与の対象としてその評価と取り扱いが問題となります。共有名義とは、ふたり以上の名義人が同じ不動産を持つ状態です。夫婦が共同で所有している家や土地、あるいは別荘や投資用不動産が共有名義であることがあります。

ここで、離婚を例に挙げると、多くの夫婦は、離婚時にこれらの不動産を売却し、その売却代金を分割して清算します。しかし、不動産売却には時間がかかり、価格が下落しているケースもあります。夫婦間での希望条件の折り合いがつかないことも多く、そのまま共有名義を維持したまま放置される物件も少なくありません。この「放置された共有不動産」は、固定資産税などの維持管理費が継続して発生し、税負担や管理実務の問題が所有者の負担を増やすだけでなく、地域の景観を損なう原因ともなっています。

共有名義であるために、一般的には他の共有者の同意なしに、その不動産を勝手に売却することができない法律上の制約も大きな問題です。これにより、不動産活用や売却が非常に難しくなり、経済的価値が下落することで負動産化しやすくなるのです。

共有名義不動産が抱える法律の壁とそれに伴うリスク

日本の民法では、共有者全員の同意がなければ共有不動産の処分ができないと規定されています。これには、共有者の権利を保護し、それが不当に侵害されることを防ぐという重要な意味があります。しかし現実には、この制度が「共有不動産を動かせない」大きな原因ともなっています。

共有者の中に一人でも処分を望まない者がいれば、売却や賃貸契約は困難になり、長期間にわたり不動産管理が滞ることになります。こうなると、建物の老朽化や荒廃、固定資産税の滞納や未払いとなるリスクも高まります。その結果、社会的な負担や近隣トラブル、さらには裁判での争いにまで発展することもあります。

共有物分割請求という裁判上の方法による解決も存在しますが、これには時間、費用、精神的負担が大きく、問題解決までに長期間を要するのが実情です。

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