はじめに
投資家が陥りやすい罠。配当を生まない資産との付き合い方

直近で金のパフォーマンスが好調なことで金を投資先として考える方が増えている一方、注意もあります。
コモディティは配当も利息も生まない資産であり、持っていれば複利で増えていくタイプではないということです。商品指数や商品ETFでは、ロールコストが成績に影響することもあります。だからこそ重要なのは、コモディティを当てにいくことではなく、コモディティを入れることで「当てにいかなくても耐えられるポートフォリオ」を作るという発想です。
また、銀は金よりも景気や資金フローの影響を強く受けるため、「金の代替」として同じ感覚で扱わない方が良いという点を把握しておいていただければと思います。
「金」から始める、無理のない資産分散の第一歩
初心者が現実的に取り入れるのであれば、まずは金から考えるのが無理のない選択だと私は思います。金は情報量が多く、値動きも実質金利やドルの強弱といった軸で整理しやすい資産です。
金をポートフォリオに組み込む重要性は以前からお伝えしていましたが、いよいよ重要になってきていると感じます。
ロシアの外貨準備凍結以降、「外貨準備は本当に安全なのか」という問いは、多くの国にとって、「ドルへの依存度を下げ、金を含めた複数の選択肢を持つ」という対応が現実的になってきています。
それは金を支える需要の構造が現状崩れにくいと判断しているからです。
そして中央銀行に一度組み入れられた金は、簡単には市場に戻ってこないので、相場が崩れる土台となっています。
資産のすべてを同じ方向に倒さない「構造」を作る
最後に、いちばん大切なことをお伝えします。コモディティは入れすぎると分散ではなく、逆に価格変動を増幅させる要因になります。しかし、少量でも「すべてが同じ方向に倒れない構造」を作ることができれば、それだけで十分に役割を果たしたと言えます。
株式は成長を取りに行く資産、債券は景気変動のクッションになる資産。そこにコモディティを加えることで、インフレや地政学リスク、供給ショックのように「株と債券が同時に傷みやすい局面」で、資産全体の落ち込みを和らげる効果が期待できます。
将来の不確実性に備えるための「静かな保険」
過剰流動性相場が続き、インフレと通貨の信認、その資源を巡る国家戦略が絡み合ういまの環境では、長期の資産配分の中にコモディティ、とりわけ金を少しだけ組み込んでおくことには、投資家として合理性があると私は考えています。それは利益を狙うためというより、将来の不確実性に備えるための「静かな保険」なのです。この記事が皆様の投資の少しでも参考になれば幸いです。
投資管理もマネーフォワード MEで完結!複数の証券口座から配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]