はじめに
「160万円の壁」撤廃で手取りはいくら増える?
160万円の壁が撤廃され、新たに178万円の壁になると、手取りはいくら増えるのでしょうか。2025年の制度と2026年の制度で試算してみました。なお、前提条件は次のとおりです。
東京都文京区在住のパート・40歳
給与所得控除は65万円(2025年)・74万円(2026年)
社会保険料は2025年度の数字で計算
所得控除は基礎控除(2025年は所得税95万円・住民税43万円、2026年は所得税104万円・住民税43万円)と社会保険料控除のみ
住民税は所得割(課税所得の10%)+均等割(誰もが一律で支払う住民税)5000円
●年収160万円の手取り
・2025年…131万9508円
・2026年…132万8508円(+9000円)
●年収178万円の手取り
・2025年…145万4810円
・2026年…146万3810円(+9000円)
年収160万円でも年収178万円でも、手取りは9000円増える計算です。
一方、今回の改正では社会保険上の壁は変わっていません。「106万円の壁」だった社会保険上の壁は、「週20時間の壁」となります。これまで、106万円の壁に該当する人は「従業員数が51人以上」「労働時間が週20時間以上」「賃金が月8万8000円以上」「学生ではない」「2か月を超える雇用が見込まれる」という条件をすべて満たす人でした。このうち、従業員数と賃金の要件は今後なくなりますが、「週20時間以上」は残るので、106万円の壁は「週20時間の壁」になります。
週20時間の壁に該当しない場合は「130万円の壁」を超えると社会保険料が発生します。なお、「130万円の壁」は2026年度から年収要件が緩和されます。現状は残業代を含む給与や不動産・配当収入の合計ですが、4月からは給与収入のみなら残業代を含めずに計算するように変わります。
扶養されている人が「週20時間の壁」または「130万円の壁」を超えると、手取りは一時的に大きく減少し、手取りの逆転現象が発生します。
「週20時間の壁」に該当した場合、年収105万円の手取りを回復する年収は約124万円。「130万円の壁」に該当した場合、年収129万円の手取りを回復する年収は約152万円です。手取りを回復した後は、壁を超えて働いたほうが手取りは多くなっていきます。
社会保険への加入には「将来の年金が増やせる」「出産手当金や傷病手当金がある」「失業給付、教育訓練給付、介護休業給付など雇用保険からの給付がある」といったメリットがあります。
最低賃金が今後も引き上げられていくことを考えると、週19時間でも130万円の壁を超えてくるケースも出てきます。時給のラインは「1320円」です。
時給1320円だと「時給1320円×19時間×52週=130万4160円」となり、社会保険に加入しなければなりません。
賃金が上昇していく中で壁を超えないようにしていると、働ける時間が減り収入を増やしにくくなります。働ける環境や意欲があり、手取りを増やしたいならば、社会保険上の壁を超えて働いたほうがベターです。