はじめに

2026年2月3日、米小売最大手ウォルマートの時価総額が1兆ドルを突破しました。ハイテク企業が独占してきたこの領域に、なぜ伝統的な小売業が食い込めたのか。歴代の「1兆ドル企業」の共通点から、市場が評価する「ビジネスの再現性」と、個人投資家が巨大企業群をどうポートフォリオに組み込むべきかまで解説します。


「1兆ドル」が意味する市場からの合格点

2026年2月3日の米株式市場で、米小売り最大手のウォルマートの株価が上昇し、同社の時価総額が初めて1兆ドルを超えました。円換算ではおよそ155兆円規模となり、これは日本の代表的な大型企業をいくつも束ねた規模に相当します。

これまでこの領域に名を連ねてきたのは、主にテクノロジー企業でした。その中に、リアル経済を代表する小売企業であるウォルマートが加わったことは、市場構造の変化を象徴する出来事といえます。

ここで改めて整理しておきたいのが、「1兆ドル企業」とは単に売上が大きい会社ではない、という点です。時価総額1兆ドルという水準は、市場参加者がその企業に対して「今後も長期にわたり安定的、かつ持続的にキャッシュフローを生み出し続ける」と評価している結果です。言い換えれば、1兆ドル企業とは、規模だけでなく、競争優位性、事業の再現性、環境変化への適応力、そして経営への信頼まで含めて、いわゆる「合格点」を与えられた企業群だといえます。

【ウォルマート】リアル経済の王者が1兆ドル到達した背景

なぜウォルマートは1兆ドル企業になれたのか。ウォルマートの強みは、テクノロジー企業のような派手な成長ストーリーではありません。むしろ、「生活インフラとしての圧倒的な存在感」にあります。世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートの主な事業は米国事業(Walmart U.S.)、海外事業(Walmart International)、会員制スーパーマーケットサムズクラブ(Sam's Club)の3本柱です。

低価格戦略である「エブリデー・ロープライス」を掲げ、米国内外に膨大な店舗網を持ち、食品・日用品という景気変動に強い分野を主軸にしています。

「守りの小売」から「攻めのデジタル」へ

加えて、インフレ局面では価格競争力が際立ち、景気後退局面では節約志向の受け皿として顧客が集まりやすい、つまり、景気の良し悪しにかかわらず、一定の需要が見込めるビジネスモデルを持っています。

加えて、近年のウォルマートは「守りの小売」から明確に進化しています。積極的にデジタルシフトを推進し、自社の電子商取引(EC)事業を成長させるとともに、オムニチャネルでのサービス提供に注力しています。

EC強化、会員制サービス、広告事業、データ活用など、収益性の高い分野への展開が進み、単なる薄利多売モデルから脱却しつつあります。こうした構造転換によって、市場から「長期的な利益成長が見込める」と評価されたことが、1兆ドル到達の背景にあります。投資家目線で重要なのは、ウォルマートがハイテクでなく、生活に根差した現実的な成長でこの水準に到達した点です。これは今後の市場において、評価軸が再び「実体経済」へ戻りつつある兆しとも読み取れます。

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