はじめに

FIREを達成した人は、経済的な自由を手に入れ、悠々自適な生活を送ることができます。しかし、老後生活にまった不安がないかといえば、決してそうではありません。

実際に、FIREを達成した方から老後についての相談を受けることがあります。一般的にFIREの目標額は1億円といわれていますが、ある相談者の金融資産は約1億5000万円でした。一見すると老後は安泰に思えますが、そこには思わぬ落とし穴がありました。早期にFIREを達成することが、かえって老後不安を大きくしてしまうケースもあるのです。


生涯年金受給額が減る

まず大きな問題となるのが、公的年金の受給額です。投資が非常にうまくいき、多くの金融資産を築くことができれば、その資産を運用しながら生活ができます。つまり、必ずしも働き続ける必要はありません。

会社を辞めて悠々自適な生活を送る――これがFIRE(“Financial Independence Retire Early”の略で経済的な自立と早期の退職)と呼ばれる考え方です。

しかし、FIREを達成して会社を辞めると、厚生年金(第2号被保険者)から国民年金(第1号被保険者)に切り替わります。その結果、厚生年金の加入期間が短くなり、老後の年金額が大きく減ってしまいます。

例えば50歳でFIREした場合、70歳まで会社員として働いた人と比べると、厚生年金の加入期間に20年の差が生じます。仮に23歳から50歳まで厚生年金に加入し、その後は国民年金のみだった場合、年金月額は約15万円、年額では180万円程度になります。この不足分は、すべて資産の取り崩しで補わなければなりません。

安定資産への移行を考える

次に考えるべきなのが、運用スタイルの変化です。

FIREを達成した相談者は、米国株などリスク資産への積極的な投資で資産を増やしてきました。しかし、その運用を高齢になっても続けられるかという不安が生じます。相場の変動に常に対応することは、年齢を重ねるほど精神的な負担が大きくなります。そのため、いずれは投資信託の比較的安定した資産へ移行し、年3%程度の利回りを想定した運用に切り替える必要が出てきます。

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