はじめに

認知症になったときのリスク回避

さらに深刻なのが、認知症への備えです。認知症と診断されると、金融資産が凍結され、自由に使えなくなる可能性があります。どれだけ資産を持っていても、使えなければ意味がありません。まさに宝の持ち腐れです。

このリスクを回避するためには、「家族サポート証券口座」(本人と家族が事前に任意代理契約を結び、判断能力低下時に家族が代理人として資産管理・運用を引き継ぐ仕組み)の利用や、任意後見制度の検討、遺言書の作成など、事前の準備が不可欠です。

死ぬまでに使い切るのは、どのくらいの支出がいいのか?

そして最大の課題は、公的年金が少ない中で、資産をどう取り崩していくかという問題です。一般的なFIRE理論では、年4%の運用益で生活することを想定しますが、この相談者は「子どもがいないため、資産を残す必要はなく、できれば使い切りたい」と考えていました。

金融資産1億5000万円を年3%で運用すると、運用益は年450万円になります。ここに公的年金を年150万円と仮定すると、65歳からは年間収入は600万円です。ただし、50歳からリタイア生活を始めた場合、最初の15年間は年金がないため、取り崩し額が多くなります。

試算上は、年間800万円の支出が続いた場合、80代前半で資産が尽きる可能性があります。支出を年間700万円に抑えれば90代前半まで、年間600万円なら100歳を超えても資産が残る計算になります。試算の結果、50歳から年間660万円程度の支出であれば、100歳時点でほぼ資産を使い切る水準に近づきます。

1年に1回は“人生のポートフォリオ”の見直しを

ただし、これらはあくまで机上の計算にすぎません。運用成績が常に一定とは限りませんし、病気や介護、有料老人ホームへの入居などによって、支出が大きく変わる可能性もあります。何歳まで生きるかも、誰にも分かりません。

だからこそ、FIREを達成した後こそが重要です。資産運用と同じように、老後資金計画も「人生のポートフォリオ」として、年に一度は見直すことが必要です。それが、FIRE後の老後生活を安心して過ごすための、最大のポイントだといえるでしょう。老後資金は失敗できない!あなたが今からできる資産形成の始め方、お金のプロに無料で相談![by MoneyForward HOME]

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