はじめに

お金は「目的」ではなく「手段」。鈴木氏のお金観

金坂:鈴木さんは会社のお金と個人のお金はどう管理されていますか?

鈴木:最低限の管理は重要だと思うのですが、お金は自分のやりたいことに対しての手段でしかないと考えています。僕は小さい頃からお金が大好きでした。プロサッカー選手としての評価は年俸に関わりますし、勝利給などのインセンティブもあります。ただ、現役生活の中で、お金を稼ぐことが「目的」になってしまっている瞬間があると気づいたんです。引退前に、「なぜサッカーをやっていたのか」を突き詰めた時、ファンやサポーターの応援が形になったものが年俸なんだと気づきました。「お金は誰かの夢や想いの形である」と考えたときに、使い方を間違えてはいけないと思ったんです。なので、「心が震えるもの」とか、自分の魂や時間と同じように使うことを心がけています。

金坂:「心が震えるもの」というキーワードがありましたが、最近心が震える買い物はありましたか?

鈴木:妻の50歳の誕生日にパーティーを開きました。モノをプレゼントするのも良いですが、妻がお世話になった方々50〜60人くらいに集まっていただき、感謝を伝えたり時間を共有したりする「体験」にお金を使いたいと思ったんです。それには頑張ってお金を出しましたね。

金坂:それはサプライズパーティーだったんですか?

鈴木:はい。記憶とサプライズが結びついたときって、人生にとってひとつの思い出になりますよね。モノで残すこともすごくいいんですが、「心の資産」を作りたいと思って企画しました。

金坂:すごく素敵なお話ですね。

鈴木:50〜60人くらいの方に集まっていただいて。実家に行って写真を取ってきたりもしました。それが自分の中でワクワクしたお金の使い方でした。物としては残りませんが、心が踊るようなお金の使い方でした。

渡辺:素晴らしいですね。すごく共感します。僕も、自分の人生において大きな1ページを残せるときに、ドンと使える気概がすごく大事だと思っています。旅先でお金をケチる人がいるじゃないですか。でもそれが嫌なんです。それによって失う貴重な時間とか「これ食べておけばよかった」みたいな後悔がないように、「ここは使うぞ」というときにドンと使えるのが「良いお金の使い方」だと思っています。

以前、ウイスキーの聖地であるアイラ島へ妻と旅行した際、バーに行ったんです。そこには「聞いてはいたけど、本当にあるんですね」というウイスキーが並んでいました。「これは飲まないと」「また飲みに来ようと思っても来られない」と思って、1杯数万円する「ポートエレン」という高いウイスキーを頼んだんです。

金坂:周りの反応はどうでしたか?

渡辺:世界中からウイスキー好きが集まる場所で、みんなに注目されて感想を求められて。飲んでみたら味はいまいちだったんですが、それでも「最高です」と言いました(笑)。でも、それが僕ら夫婦にとって大事な人生の1ページになりました。いいお金の使い方ができたなと感じた大きなエピソードでした。

鈴木:経験にお金を使うというのは贅沢ですが、そういう使い方ができる大人になりたいですね。

金坂:素敵な経験にお金を使うことが人生を豊かにするんですね。本日はありがとうございました。

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