はじめに

「貯め時を待つ」戦略が通用した、親世代の「貯め方」

ここまで「貯め時が消滅しつつある」という構造的背景を見てきました。もう一つ、「貯め時」の貯め方にも大きな変化がありました。

銀行預金に貯めっぱなしで通用した、親世代

まず、今から35年以上前の昭和からバブル期。「給与も物価も上がる」インフレ時代でした。終身雇用で給与は右肩上がり。バブル末期には定期預金の金利は年6%もあり、貯め時に定期預金で貯めておけば、元本保証のまま12年で資産が倍になる時代だったのです。

その後、失われた20年・30年と呼ばれるデフレ時代に入ります。「給与も物価も上がらない」平成時代です。金利は1%以下に急落しましたが、物価も上がらなかったため、貯めさえすれば資産は目減りしませんでした。

銀行預金に貯めっぱなしでは実質的にお金が減る、令和の今

しかし現在は「給与は上がりにくいが、物価は上がる」インフレの局面です。定期預金金利は0.3〜0.4%程度です(2026年2月時点)。資産が倍になるには約180〜240年かかる計算で、物価が年2〜3%上昇する現在の環境では、金利0.3%の預金では追いつかず、実質的に買えるものが減り続けてしまいます。

「貯め時に貯められる」「貯金さえしておけば良い」——この2つが成り立っていたからこそ、「貯め時が来るから大丈夫」と言えたのです。しかし令和では、どちらも通用しません。

現代の武器は「高い金利」ではなく「長い時間」

では、どうすればいいのでしょうか。答えは、「貯め時を待つ」から「時間を味方につける」へのシフトです。親世代の武器は「高い金利」でしたが、私たちの武器は「時間×複利」です。長寿化はリスクにもなりますが、裏を返せば「投資に使える時間が長い」という強みでもあります。

複利効果は、早く始めるほど有利に働きます。たとえば月1万円を年利5%で積み立てた場合、次のように増えていきます。

  • 10年後:約154万円(元本120万円)
  • 20年後:約406万円(元本240万円)
  • 30年後:約815万円(元本360万円)

元本保証ではありませんし、必ずしも試算のとおりいくわけではありません。ただし、長く続けた人だけが受け取れる「複利」の恩恵を受けるために、早く始めて、やめないことに変わりはありません。これが令和の資産形成の基本戦略です。

親世代の最適解は「お金はまとまった時期に、まとめて貯めるもの」でした。しかし私たちの最適解は「収入から天引きして、積み立て投資をする」です。

ライフイベントでお金が出ていく時期でも、投資はやめない、解約しない。時間を切らさないことが、複利効果を最大化するカギです。

春の家計見直し「3つのTODO」

新年度を迎えるこの時期、「天引きで投資」に向けて家計を見直してみませんか。やるべきことは3つだけです。

①銀行のキャンペーン金利は追いかけない
定期預金金利は0.3〜0.4%程度(2026年2月)。キャンペーンで1%の金利を見つけても、100万円預けて年間6,000円の利息差です。その時間を、数十年かけて何に投資するかを調べることに使った方が、長い目で見ればはるかに大きなリターンになる可能性があります。

②まずはNISA・iDeCoの口座を開設する
NISAやiDeCoは、投資の利益にかかる税金が優遇される制度です。利用するには、証券会社などで開設する必要があります。これが「天引き投資」を始める最初の一歩です。

③「物価に負けていないか」をチェックする
せっかくNISAやiDeCoにお金があっても、物価上昇率より低い利回りの商品で運用していては意味がありません。具体的な商品選びやバランスは、ご自身の状況に合わせて検討してみてくださいね。

「私、同年代より貯蓄が上手にできていないかも…」お金の悩みを無料でFPに相談しませんか?[by MoneyForward HOME]

この記事の感想を教えてください。