はじめに

2025年10月、メルカリがスキマバイト事業「メルカリ ハロ」からの撤退を決めた際、それを投資における「見事な損切り」と評した記事を書きました。あれから約半年、2026年に入り発表された最新決算は、当時の「損切り」が単なる止血にとどまらず、メルカリという企業の体質を劇的に変えたことを証明しています。

一方で、ライバルがいなくなり「一強」となったはずのタイミーの株価は、なぜかスカッと晴れ渡りません。数字の裏側に隠された、両社の「現在地」を解説します。

画像:TradingViewより

参考記事:メルカリ、スキマバイト事業「ハロ」撤退で株価が14%も上昇! そのわけは?


損切りのあとに訪れた、メルカリの劇的な利益爆発

まず、メルカリが2月9日に発表した2026年6月期 第2四半期決算を確認します。見て驚かされるのは、その利益の伸び率です。コア営業利益は202億円(前年比+80.9%)、1年前の2025年6月期第2四半期の同利益の伸び率は前年比28.9%でしたから、大きくジャンプアップしています。

さらに、決算発表と同時に通期の連結コア営業利益予想を従来の280億~320億円から、320億~360億円へと上方修正しました。2025年12月18日に「ハロ」を完全に終了させたメルカリは、そのリソースを即座に本業のMarketplace事業(メルカリ)とFintech事業(メルカード等)に再配分し、その効果が如実に現れています。

前回の記事で触れた営業網の弱さや拠点の少なさというハロの弱点は、見方を変えれば維持するために膨大なコスト(販促費・人件費)を食いつぶすブラックホールでもありました。この重荷を捨てたことで、メルカリの営業キャッシュフローは健全化し、本来得意とするITの力で効率よく稼ぐ筋肉質な体質へと戻ったのです。投資家がこの損切り後の跳躍を評価し、株価が上昇トレンドを維持しているのは、極めてロジカルな結果と言えます。

なぜタイミーは「一強」なのに株価が冴えないのか?

一方、対照的なのが、スキマバイト市場をほぼ独占する形となったタイミーです。2025年12月11日に発表された2025年10月期の通期決算は、売上高342.8億円(前年比+27.6%)、営業利益67.4億円(前年比+58.9%)、登録ワーカー1,274万人(前年+34%)と好調に見えます。

前回の記事でわたしが懸念した成長率の鈍化を、ワーカー数の圧倒的な伸びでねじ伏せた形です。しかし、皮肉なことに、ライバルがいなくなったことが、タイミーにとっての新たなリスクを顕在化させました。

それは「社会的責任という名のコスト」です。市場を独占すればするほど、闇バイト対策や労働環境の整備といった公共的な要請が強まります。タイミーは現在、かつての勢いのあるベンチャーから、労働インフラを担う公器への脱皮を求められています。これには、カスタマーサポートの増強やコンプライアンス対応といった、利益率を押し下げる要因が伴います。

また、タイミーは2026年1月、決算期を10月から4月に変更することを発表しました。この会計上の変更に伴う一時的な不透明感も、投資家が一旦様子見を決める要因となっています。独走状態にあるがゆえに、次にどうやってこれ以上の成長を見せるのかという、極めて高い期待値と戦わされているのです。

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