はじめに
日本で初めてETFが登場したのは、1995年でした。その後は上場が進みませんでしたが、2001年に「現物拠出・交換」の制度が整備されたことから本数が増え始め、2026年2月時点では398本まで増えています。そして今年は、ETFが活況になる可能性があります。
徐々に拡大するETF市場
ETFとは、「受益証券」を取引所に上場して、株式と同様に売買できるようにした投資信託です。1995年に第1号のETFが上場されてから30年。この間にいくつかの転機がありました。
まず2001年です。第1号のETFは、ほぼ同時期から算出が開始された「日経株価指数300」を盛り上げる意図もあり、当時の大蔵省が特例として上場を認めた投資信託でした。しかし、当時の制度では、投資家が保有している株式等を拠出してETFの受益証券を手に入れる「現物拠出」や、保有しているETF受益証券を株式等に戻して受け取る「現物交換」のルールが整備されておらず、他に追随する運用会社が現れませんでした。
そして、現物拠出・交換のルールが整備された2001年が大きな転機となり、ここから複数のETFが上場されましたが、2007年までは大きく本数が増えることもなく、鳴かず飛ばずの状態が続きました。上場本数を見ると、2002年には19本だったのが、2007年には18本に減っています。
それが2008年に、一気に上場本数が68本まで増加しました。制度の見直しによって、金などのコモディティや不動産を裏付けにしたETFが上場できるようになり、かつ海外に上場されているETFを、東証に重複上場できるようになったのです。そして2023年からは、インデックス型だけでなくアクティブ型のETFも上場できるようになりました。
このようにいくつかの転機を迎えながら、東証上場ETFはその本数を大きく増やしていったのです。
日本の資産運用ビジネスに新規参入が少ないわけ
さて、2026年は日本のETFにとって、さらに大きな転機を迎えることになりそうです。理由は「ホワイトレーベルETF」です。
これはETFの組成・上場に必要な各種申請業務、関係当局との折衝・調整、運用体制の整備、上場や運用に必要な一連の業務のすべてを、資産運用会社が自分で担うことなく、ETFを組成・上場できる仕組みです。
日本においては、日本資産運用基盤(JAMP)の子会社である「JAMPファンド・マネジメント」が「ホワイトレーベルETFプロバイダー」の第1号として承認されており、前述した上場や運用に必要な一連の業務のすべてを、JAMPファンド・マネジメントが請け負います。結果、資産運用会社は煩雑な各種業務を自分たちで行わず、経営資源を運用に集中できるようになります。
日本の資産運用ビジネスは、新規参入がなかなか進まないという課題がありました。かつては免許制であり、取得自体が極めて高いハードルだったことに加え、資本金や純資産、人的要件などさまざまな条件が、現在に比べて数段厳しかったため大手、準大手証券会社によって独占されていました。現在は登録制になり、昔に比べれば参入条件は緩くなっています。
しかし、それでも投資信託の運用業務に新規参入する資産運用会社が少ないのは、まだ参入障壁が高いということです。ホワイトレーベルを用いず、すべてを自前で整えようとすると、人的構成としてプロを配置しなければなりませんし、内部統制も整備しなければなりません。登録制とはいえ、厳しい審査基準をクリアする必要があるのです。
これらの審査基準をすべてクリアして、無事に登録できたとしても、事業を継続していくには多大なコストが掛かります。従業員に支払う給与はもちろんですが、運用に必要な注文を発注し、その注文を管理するためのシステム、各種分析ツール、コンプライアンスやリスク管理のシステム、基準価額算出システムなど、さまざまなシステム投資が必要であり、これらに莫大なコストが掛かるのです。
しかも近年の傾向として、外部からのサイバー攻撃も活発であり、それを防ぐために堅牢なセキュリティシステムを構築しなければなりません。