はじめに

防災士の資格を持つ筆者に、いちばん多く来る取材が「食料備蓄」に関してです。

首都直下地震や南海トラフ巨大地震といった、私たちの生活を一変させる巨大災害の発生確率は、今後30年以内に70%から80%に達すると予測されています。「いつか」ではなく「いつ来てもおかしくない」切迫した状況において、食料備蓄の有無は、発災後の生活の質を決定づける大きな分岐点となります。

大規模な災害になればなるほど、道路の寸断や物流の混乱により、国や自治体からの公的支援(公助)が手元に届くまでにかなりの時間を要します。特に都市部では人口に対して避難所の収容能力が圧倒的に不足しており、「在宅避難」を余儀なくされる可能性が高いのが現実です。

だからこそ、誰の助けも借りずに自宅で最低1週間は暮らし続けられるだけの「自力での備蓄」が不可欠となります。しかし、いざ備蓄を始めようとすると、「管理が続かない」という壁にぶつかる人が少なくありません。

そこで本記事では、多くの人が挫折しがちな従来の備蓄法を見直し、今の時代に合ったよりシンプルで確実な方法を提案します。


なぜ「ローリングストック」は挫折するのか

食料備蓄の方法として、日常的に食べているものを多めに買い、消費した分を買い足す「ローリングストック」を知っている方は多いでしょう。一見合理的ですが、以下の理由で挫折する人が後を絶ちません。

1.在庫管理の煩雑さ:食品ごとに賞味期限が異なるため、常に「どれをいつまでに食べ、何を買うべきか」を気にし続ける必要があります。
2.収納の混乱:日常の食品と備蓄が混ざり、いざという時に「21食分(7日分)あるはずが足りない」という事態が起こりやすくなります。
3.買い足し忘れ:忙しい日常の中で、消費した後に「同じものを買い直す」という手間が負担になり、サイクルが途切れてしまいます。

技術の進歩が可能にした「1年ストック法」とは

ローリングストックを挫折した方に筆者がおすすめしているのが、「1年ストック法」です。これは、賞味期限が1年程度ある食品を1週間分(21食分)まとめ買いし、1年に1回、決めた月に入れ替える方法です。近年、製造技術の向上により、スーパーで買える一般的な食品でも「賞味期限が1年以上のもの」が大幅に増えています。この進歩を活かした、管理を極限までシンプルにした「新しい備蓄スタイル」こそ、「1年ストック法」です。

1年ストック法の利点
・管理が年1回で済む:毎日の在庫を気にする必要がなく、精神的負担が激減します。
・賞味期限切れを防げる:入れ替え月に「昨年の備蓄を日常の食事として食べ、新しいものを買う」だけで、常に1年前後の猶予がある食料を確保できます。
・普段の味が楽しめる:乾パンなどの特殊な非常食ではなく、食べ慣れた市販のカレーやパスタを揃えるため、被災時のストレス緩和につながります。

何を、どれくらい揃えれば良いのか

備蓄の目安は、救助が本格化するまでの「最低1週間分(7日分)」が現在の推奨です。大人1人の場合、以下のリストを目安に揃えましょう。

・飲料水:
1日3リットル×7日分=計21リットル(2Lペットボトル11本程度)

・主食(21食分):
パックご飯:10〜15個
麺(パスタ・そうめん等):500gを2~3袋(ゆで時間の短いものがガス節約に有効)
カップ麺:数個

・主菜・副菜:
レトルト食品(カレー、どんぶり、パスタソース):10〜15個
缶詰(魚、肉、野菜):10個程度
スープ類(缶詰・粉末等):21食分

・その他:
ゼリー飲料(体調不良時や食欲がない時用):数個
野菜ジュース:栄養バランスの補完に
※カセットコンロとボンベ(1週間で約6〜9本)も忘れずに用意しましょう。
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