はじめに
「証券会社から、ジュニアNISAが非課税期間を終えて課税口座に移管されるという通知が届きました。もう税金がかかってしまうのでしょうか? 今すぐ売るべきですか?」
最近、ジュニアNISAを利用されていたご家庭からこのような相談が増えています。通知書にある「課税口座へ移管」という文字を見れば、「せっかくの非課税メリットが失われる!」と危惧するのも無理はありません。
しかし、結論から申し上げると、ジュニアNISAの非課税メリットは「継続管理勘定」という仕組みによって、子どもが18歳になるまで継続します。慌てて売却する必要はありません。
本記事では、通知書の分かりにくい表現の意味を解説し、18歳までの運用方針、そして2026年度に議論されている新制度への対応まで、今知っておくべきポイントをお伝えします。
なぜ「課税口座」と書かれているのか? 継続管理勘定の仕組み
証券会社からの通知に「課税口座への移管」と書かれていても、実際には非課税運用が続きます。この一見矛盾した状況を順に整理しましょう。
①ジュニアNISA口座は制度上「終了済み」
ジュニアNISAは2023年末に制度自体が廃止されました。そのため、5年間の非課税期間が終わった資産は、システム上「課税口座(特定口座など)」へ払い出される処理が行われます。これが通知書の記載の理由です。
②「継続管理勘定」で自動的に非課税が続く
ただし、ここで重要な特例があります。子どもが18歳になるまでは、資産は自動的に「継続管理勘定」に移され、引き続き非課税で運用できます。
③特別な手続きは不要
原則として、証券会社が自動的に処理するため、こちら側で何か手続きをする必要はありません。通知が届いたからといって、慌てて商品を売却したり、問い合わせたりする必要はないのです。
通知書をよく読むと、移管先として「継続管理勘定」と記載があるはずです。証券会社によって表現が異なる場合があるので、もし不明な場合は問い合わせて確認しましょう。
時価100万円超でも全額非課税!継続管理勘定の大きなメリット
継続管理勘定には、通常のNISAにはない優れた特徴があります。ジュニアNISAの新規投資枠は年間80万円までという制限がありましたが、継続管理勘定への移管には時価の上限がありません。
例えば2021年に80万円で購入した米国株式の投資信託が、2026年に時価120万円になっていた場合、この120万円全額が18歳まで非課税で保有できます。値上がり分も含めて丸ごと非課税運用が続くのです。また、成人向けの新NISAでは、非課税保有限度額(1,800万円)という生涯枠があります。一方、継続管理勘定はこの枠を一切消費せず、過去の運用成果を18歳になるまでそのまま非課税で持ち越せます。
子どもが18歳になって新NISAを始める際も、生涯投資枠は満額使えるため、非常に効率的な制度設計と言えます。ここで3つの注意点があります。
①継続管理勘定では新規の買い付け不可
あくまでも保有している資産を非課税で持ち続けるための「保管場所」という位置づけとなっています。
②追加購入やスイッチング(商品の入れ替え)不可
一度売却した資金を再投資することもできないため、基本的には18歳まで保有し続けることになります。移管時点の評価額が、その後の取得価額としてみなされ、配当や分配金、譲渡益は引き続き非課税で扱われます。
③18歳到達の前年末(1月1日時点で18歳である年の前年12月31日)で継続管理勘定での運用は終了
18歳到達の前年末を迎えると、残っている資産は自動的に課税口座(特定口座など)に払い出されます。それ以降の運用益や配当は課税対象となりますが、18歳になれば新NISAを開設できるため、改めて非課税枠を活用することができます。
「いつでも引き出せる」メリットを教育資金の予備費に
ジュニアNISAには当初「18歳まで資産が払い出しできずロックされる」という制約がありましたが、現在は状況が変わっています。
制度廃止に伴い、2024年以降はいつでも、理由を問わず、非課税で払い出しが可能になりました。これは大きな制度改善で、継続管理勘定移管後も同様です。この特徴を活かせば、中学・高校の入学金、海外留学、急な教育費など、大学進学前に資金が必要になった際の「予備費」として機能させることができます。注意したいのは、一部だけを引き出すことはできないという点です。払い出しを行うと、口座内の資産すべてが払い出され、口座自体が廃止されます。
子どもの年齢と今後の教育プランを考えながら、「いざというときは使える資金」として位置づけておくと安心です。ただし全額引き出しになる点については、資金計画を立てる際に考慮しましょう。