はじめに
時価総額1,000億円のバリア
一方で、ファーストリテイリングほどの巨体を持たないアパレル銘柄たちは、国内売上が中心で、中東情勢悪化の影響を受けづらいこともあり、大荒れ相場の中、比較的平常運転です。先に挙げたアパレル3社の時価総額は、ユナイテッドアローズ約790億円、ワールド約1,200億円、アンドエスティHDは約1,500億円で、投資の世界では中小型の部類に入ります。この適度なサイズ感こそが、今の荒れ相場の最強のシェルターになっています。なぜなら、海外の機関投資家たちは、一度に数百億円、数千億円という単位で動きます。彼らにとって、時価総額1,000億円規模の銘柄は、サイズが小さすぎて自分たちの資金を入れにくい、あるいは売っても大した現金にならない存在です。結果として、指数売買の荒波に巻き込まれにくく、需給の乱れではなく企業の本当の価値で株価が決まりやすくなるのです。
さらに、これらの中小型アパレルには、ファーストリテイリングにはない強みがあります。ユナイテッドアローズ(7606)は、一時期の苦境を脱し「やっぱりアローズで買いたい」という高感度な層をガッチリと掴み直しています。インバウンド需要も追い風ですが、それ以上に大きいのは、嗜好品としての服の強さ。日用品に近いユニクロは節約の対象になり得ますが、自分を鼓舞するための勝負服は、簡単には削れません。2月の既存店売上は、前年比112.9%でしっかりと数字を叩き出しています。
次にワールド(3612)は、積極的にM&Aを行い、事業再編を行っています。前期に買収したエムシーファッションのOEM事業が想定超の伸びであることや、ITS’ DEMOなどの雑貨販売も好調です。
最後に、アンドエスティHDは、自社プラットフォーム「andST」で、店舗スタッフが自らモデルとなり、等身大のコーディネートを提案する「STAFF BOARD」を展開。スタッフがインフルエンサーとなり「あの店員さんが着ているから欲しい」という「人への帰属」が売上を支えています。
大型株なら安心の定説は疑ったほうがいい
ここ数年、日経平均株価の上昇は世界的に見ても突出していたため、必然的に日経平均に採用されている大型株のパフォーマンスは好調でした。そのため誰もが知っている大型株を買っていれば安心だし、儲けられるといった雰囲気が蔓延していたように感じます。しかし、海外投資家から日本株への注目が高まったことで、大きなお金が大量に入っては大量に出ていくといった大波に揺さぶられるようになり、その影響は、ファーストリテイリングのような超大型優良株ほどダイレクトに受けます。そういった市場の変化を無視して、大型株なら安心の定説を盲信するのはリスクが高いと感じています。
指数の動きが日本株全体の動きと捉えられがちですが、ミクロに目を凝らすと違う景色が見えてきます。アパレルに限らず、その他の業界でもこうした動きがあるのか今後も注視していきたいです。
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