はじめに

「有事には金(ゴールド)」、今から買っても大丈夫?

有事になると「金を買え」という声が必ず出てきます。実際に今回も、3月3日時点で国際金価格は5営業日続伸し、国内店頭価格も1グラムあたり3万円に迫る水準で推移しています。

地政学的リスクが高まると株などのリスク資産には売り圧力が強まり、「安全資産」とされる金への買いが活発化するのが市場の一般的な動きです。確かに「有事の金」という格言には一定の根拠があります。

ただし私が今の局面でお客様に伝えるとしたら、「すでに急騰した後の水準での購入検討は慎重に行う必要がある」ということです。理由は3つあります。

1.すでにかなり値上がりしている
今の金価格は、イラン情勢の緊迫化を受けて急騰した後の水準です。「みんなが注目しているときが高値のサイン」になることも珍しくありません。

2.金利が上がると上値が重くなる
金は利子や配当を生まない資産です。米国10年国債利回りが3月4日に一時4.11%まで上昇したように、金利が上がるほど「わざわざ金を持つ理由」が薄れ、価格が伸び悩みやすくなります。

3.情勢が落ち着けば価格は下がりやすい
停戦や情勢沈静化のニュースが出た瞬間に金価格が急落することもあります。「有事が終わると金は売られる」という側面も忘れてはいけません。

金は長期的なインフレへの備えや、資産の一部を分散する目的で保有することには意義があります。しかし「有事だから急いで買う」という判断は、高値掴みのリスクを伴います。「なぜ自分は金を持つのか」という目的を先に整理することが大切です。

有事の今、最初にやるべき4つのこと

難しい売買判断を考える前に、まずはこれだけやってみてください。

ステップ1. 投資資金と生活費を分けて確認する
ネット証券やNISA口座の残高を確認し、「これは何年後に使うお金か」を書き出してみましょう。5年以上先なら、今の下落は基本的に気にしなくていい資金といえます。

ステップ2. 積立設定を確認する
新NISAやiDeCoの積立が止まっていないか確認しましょう。もし不安で一時停止していたならば、今こそ再開を検討するタイミングです。

ステップ3. 原油価格を週1回チェックする
資源エネルギー庁が毎週水曜日に発表している「給油所小売価格調査」を確認する習慣をつけましょう。ガソリン価格の変化が、インフレの体感指標になります。

ステップ4.情報源を絞る
信頼できる情報源を2〜3つだけ決めて、それ以外のSNSの情報などには反応しないと決めましょう。ちなみに私が普段から参考にしているのは、日本経済新聞、Bloomberg、資源エネルギー庁の公式サイトです。

今回のイラン情勢はまだ流動的で、今後どう動くかは誰にも断言できません。だからこそ、「どうなっても耐えられる準備」を今のうちに整えておくことが、一番の有事対策になると私は思います。

有事に強い投資家とは、誰よりも早く動く人ではなく、誰よりも冷静に自分のルールを守り続けられる人ではないでしょうか。

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