はじめに
中東情勢悪化の影響は?
中東情勢の緊迫化に伴う原油高は、外食産業の利益を直接的に削ります。ラーメンは長時間スープを炊き続けるためのガス・電気代、そして麺や食材を運ぶ物流費の負担が大きいからです。さらに、物流網の混乱は輸入食材の調達コストを押し上げます。となるとラーメン御三家が地政学リスクに伴うコスト増をいかに「価格」へ反映させ、顧客を納得させられるかという一点に集約されます。
まず、価格戦略において最も巧みなコントロールを見せているのがギフトホールディングスです。先ほども述べたように、慎重かつ段階的な価格改定を戦略的に進めることで、客足への悪影響を最小限に抑えることに成功しています。食材価格が高止まりする厳しい環境下でも、前期と同様の強固な利益構造を維持。第1四半期の営業利益率は約13.5%と高く、コスト増を飲み込む体力は極めて高いと言えます。
これに対し、独自の中毒性とも言えるファン層に支えられているのが丸千代山岡家です。既存店売上高が46ヶ月連続で前年を上回っている事実は、度重なる値上げを経ても客数が減少しない強い固定客の存在を証明しています。
全店直営・店内調理というスタイルを貫き、QSC(品質・サービス・清潔さ)のチェックを強化することで、「値上げをしてもそれに見合う価値がある」と顧客に確信させている点が同社の強みです。2026年1月期の営業利益率は約10.9%と、前期の10.7%からさらに改善しており、価格転嫁が収益向上に直結していることを表しています。
一方で、価格転嫁において苦戦が鮮明となっているのが力の源ホールディングスです。同社は2024年10月の値上げ以降、約2年間にわたり価格を据え置いていますが、これが裏目に出る形となっています。原材料や人件費のコスト増を価格に転嫁しきれず、国内店舗運営事業の営業利益率は前年同期比で悪化しました。さらに海外事業においても、インフレによるコスト上昇に直面する中で来店客数が減少しており、グローバルな価格戦略の難しさが露呈しています。
地政学リスクという逆風の中でも、私たちが日常の楽しみであるラーメンを変わらずに味わい続けるためには、ギフトHDのような緻密な戦略、あるいは山岡家のような代わりがきかないブランド力が不可欠であるという現実が、今回の数字から浮き彫りになりました。
投資家がシビアに見極めるべきポイント
2025年の冷え込みを脱し、ギフトホールディングス(9279)や丸千代山岡家(3399)の好決算によって、ラーメン株は再び市場の熱を帯び始めました。
しかし、今回の決算が教えてくれるのは、単にラーメン業界が熱い!という単純な現象ではありません。地政学リスクやインフレという避けられない外圧に対し、コストを適切に価格へ反映し、それでも顧客に選ばれ続ける力があるかどうか、その明確な選別が始まっているということです。
投資家としては、単に店舗数や売上の伸びを追うだけでなく、この価格決定権の有無をシビアに見極める必要があります。
3月の本決算で力の源がどのような次の一手を打つのか、そしてギフトや山岡家の快進撃がどこまで続くのか。2026年、マーケットの主役へとふたたび躍り出たラーメン株の熱気から、当面目が離せそうにありません。
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