はじめに
新NISAを機に資産運用への関心が高まり、中には投資信託や株式の評価益が+30%を超えるなど、順調に資産を増やしている方も増えています。
一方で、最近は緊迫する中東情勢や地政学リスクの深刻化など、世界経済の先行きには不透明感も増しており、日々流れてくるニュースを目にして、「このまま持ち続けても大丈夫だろうか」「一度利益を確定させたほうがいいのでは」と、戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
長期投資では保有を続けることが基本ですが、利益が大きく出たタイミングは、資産配分や将来の資金計画を見直す良い機会です。本記事では、資産が増えた時に確認すべきポイントと具体的なリバランスの方法、将来の取り崩しを見据えた資産設計について解説します。
資産が増えた局面で考えるべき3つのポイント
資産が増えて嬉しい反面、市場の変動に不安を感じたときに立ち返りたい「3つのポイント」をご紹介します。
①資産配分(ポートフォリオ)のバランスは崩れていないか
市場が上昇すると、想定以上に株式の比率が膨らんでいることがあります。特に地政学リスクが高まる局面では相場の値動きも大きくなるため、資産配分の偏りを定期的にチェックし、当初の設計通りに整えることが大切です。
②そのお金は「いつ・何に使う資金」なのか
資産形成では、お金の「使い道」と「時期」の整理が不可欠です。教育費や住宅資金、老後資金など、目的によって運用できる期間は異なります。数年以内に使う予定の資金まで値動きの激しい資産で運用していると、いざという時の相場下落が家計を直撃する恐れがあります。
③「増やす」だけでなく「どう取り崩すか」を見据えているか
資産形成のゴールは、ただ資産を増やすことではなく、将来の生活に役立つ形で「使える状態」にすることです。将来、どのようなペースで資産を取り崩していくかも、今のうちから少しずつイメージしておきましょう。
売却を検討する具体的判断基準
資産が大きく増えたとき、多くの人が悩むのが「売るべきか、それとも持ち続けるべきか」という判断です。その判断の目安となるのが、自身で設定したリスク許容度に基づく資産配分とのズレです。
例えば、総資産1,000万円で、当初の資産配分が次のようなケースを考えてみましょう。
株式:600万円(60%)
債券:300万円(30%)
現金:100万円(10%)
その後、市場の変動によって、資産配分が次のように変化することがあります。
株式:700万円(70%)
債券:200万円(20%)
現金:100万円(10%)
この場合、株式の割合が想定よりも高くなっているため、株式を100万円売却して600万円に戻します。売却した100万円は、不足している債券に充てることで、当初の資産配分に近い状態へと整えることができます。
また資産形成は家計とあわせて考える必要があります。そのため生活防衛資金が十分に確保できていない場合には、資産の一部を現金として確保することも選択肢になります。生活防衛資金の目安は生活費の3カ月〜6カ月分です。例えば月の生活費が30万円であれば、約90万円〜180万円程度の現金を確保しておくことで、急な出費や収入減少にも対応しやすくなります。
さらに、資産が増えたタイミングで、増えた余剰資金の一部を自分の楽しみや経験に使うという考え方もあります。旅行や趣味、家族との時間など、人生を豊かにするための支出に資産の一部を充てることも、資産形成の一つの活用方法といえるでしょう。計画の範囲内であれば、そうした目的のために一部を売却することも決して間違いではありません。