はじめに
では、なぜ持ち直してきたのか
売られすぎた株価が底を打ち、持ち直してきた背景には、二つの大きな変化があります。
1. 海外事業の急回復
最大の変化は、海外事業が本格的に利益を稼ぎ始めたことです。上期の海外営業利益は前年同期比183.9%増の11億円。中国では構造改革の成果が実り、台湾では地方への積極出店が奏功、米国でも新店が好調で赤字幅が大きく縮小しました。連結営業利益に占める海外の貢献度は今や24%にまで拡大しており、かつての「国内一本足打法」からグローバルに稼げる企業への脱皮が、数字として現れ始めています。
2. 国内の地道な強化施策
国内でも、高付加価値商品の訴求や接客強化による客単価の向上が着実に成果を出しています。3月には初のグローバル旗艦店「JINS銀座店」がオープンし、ブランド価値の底上げへの期待も高まっています。既存店売上は38ヶ月連続で前年を上回っており、顧客の支持が継続していることも安心感につながっています。
事前のストーリーが、チャンスを掴む
4月13日の値動きを見ると、株価はストップ高でも陽線がついています。つまり、寄り付きで成り行き買いをした投資家はすでに利益が出ている状態です。では、その「寄り付きで買う」という判断はどうすれば可能だったのでしょうか。答えは、決算発表前に「こうだったらこう動く」というシナリオを準備していたかどうか、です。
シナリオを組み立てる材料は、月次データだけではありません。株価のバリュエーションも重要な根拠になります。同社の過去3年間の平均PERはおよそ28倍。ところが今回の決算発表前の株価水準ではPERが14倍程度まで低下していました。仮に決算翌営業日に高く寄りついてストップ高になったとしても、PERは17倍程度で割安感は維持したままです。この計算ができていれば、成り行きで買い注文を入れることへの心理的なハードルは大きく下がります。
月次データから「下方修正は軽微なはず」と読み、決算説明資料で海外事業の急回復を確認し、さらにPERが歴史的な割安水準にあると把握できていれば、「これはポジティブな内容だ、明日の寄り付きで買おう」という判断が、自然と導き出せます。逆に何の準備もなければ、ストップ高の板を眺めながら「乗り遅れた」と悔やむだけになってしまいます。
相場がどれだけ荒れていても、個別銘柄レベルでは必ずチャンスは存在します。そのチャンスを掴めるかどうかの差は、知識や運ではなく、準備の有無です。月次を毎月チェックし、バリュエーションを把握し、決算前に「このシナリオならどう動くか」を考えておく。この習慣こそが、乱高下相場でも翻弄されずに動ける投資家をつくる、最大の武器になります。
ここから本格化する決算発表に向けて、同様の動きをしそうな銘柄がないか、月次売上を発表している銘柄の洗い直しをするのも一案です。
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