はじめに
2026年4月23日、ヤクルト本社(2267)の株価が、前日比11%高と急騰し、年初来高値を更新しました。きっかけは、米投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」が6月の株主総会で株主提案権を行使すると発表したことです。
株価チャートを見ると、ヤクルトは2023年の高値から約半値まで下落し、長らく底値圏で推移していました。しかし、2025年11月あたりからじわじわと上昇し、週足チャートでは株価が移動平均線の上に乗ってきました。今回のニュースを受けて、さらに上昇にはずみがつきそうな動きを見せています。
投資家が注目したのは、ダルトンの提案内容がこれまでより「建設的」であることです。2025年の株主総会では1000億円規模の自己株買いなど6項目もの大型提案を行い、すべて否決されていました。しかし今回は社外取締役2名の選任など、3項目に絞り込んでいます。
これは何を意味するのでしょうか? そして、個人投資家にとって今のヤクルト株は買い時なのでしょうか?
株主提案とは──企業経営への「建設的な圧力」
株主提案権とは、一定の株式を保有する株主が、株主総会で会社の経営方針や取締役の選任について提案できるしくみです。株主提案が行われるのは、主に企業価値の向上が期待できない状況のとき。現預金を過剰に保有しているのに資本コストを意識した経営ができていない場合や、株価が長期間低迷している場合などが該当します。また、ガバナンス体制に問題がある場合も株主提案の対象となります。
ヤクルトのケースでは、約2300億円もの現預金を保有しているにも関わらず、株価は長期間低迷。海外事業も中国を中心に苦戦が続いており、こうした要因が重なってダルトンの注目を集めたと考えられます。
今回のダルトン株主提案の内容
ダルトンが2026年6月の株主総会で提案するのは、以下の3項目です。
・社外取締役2名の選任(ジェームズ・B・ローゼンワルド3世氏、磯貝厚太氏)
・譲渡制限付株式報酬制度の報酬額承認
・定時株主総会基準日の変更
2025年には1000億円規模の自己株買いなど6項目もの大型提案を行い、すべて否決されていました。今回は項目を大幅に絞り込んだ、より現実的なアプローチといえるでしょう。
決算が示すヤクルトの構造的課題
2月10日に発表された2026年3月期第3四半期決算は、ヤクルトが抱える問題を浮き彫りにしました。売上高は3,717億円と前年同期比3.8%減少し、営業利益は409億円で19.3%の大幅減益となっています。経常利益も556億円で19.0%減と、利益面での悪化が目立ちます。
セグメント別では、国内事業が1,762億円(前年同期比4.8%減)、海外事業が1,795億円(同2.8%減)と、どちらも前年を下回る結果でした。そして、かつてのスター商品「Yakult(ヤクルト)1000シリーズ」も、1日あたりの売上本数は288万本で、こちらも前年同期比3.8%減とふるいません。
コロナ禍のストレスで睡眠不調を感じる人が多かったときに、睡眠の質の向上が期待できる同商品が爆発的に売れましたが、最近では、糖質の高さによって敬遠している方もいると聞きます。2025年4月には「Y1000 糖質オフ」も登場していますが、このような消費者の嗜好の変化についていけてない点も課題といえるでしょう。