はじめに
「話題のNISAでとりあえずオルカン」――まるで流行の言葉を口にするように投資を始めた方も少なくないでしょう。投資の始め方としての「オルカン」は良い選択肢だと思いますが、時間の経過とともに「本当にこれで良いの?」と疑問を感じるのも自然なことです。今回は、投資ビギナーの成長のための次のステップを考えます。
「オルカンのままでいいのか」という疑問は自然なこと
NISAをきっかけに投資を始めた方の中には、「とりあえず人気と聞いた投資信託を買った」という人も多いのではないでしょうか。証券会社のランキングやSNS、書籍などで繰り返し紹介されているのが、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(以下、オルカン)」です。
新NISAのスタート以降、このオルカンは多くの資金を集めており、「まずはこれ一本」という形で選ばれることが非常に多い投資信託のひとつです。実際、「何を買えばいいか分からないから、とりあえずオルカンにした」という声もよく聞かれます。
一方で、時間が経ってくると、こんな疑問を持つ方も出てきます。「自分は何に投資しているのだろうか」「このままでいいのだろうか」と。特に、最初に深く考えずに購入した場合ほど、その疑問は自然に生まれてきます。
もし今、「自分が持っている投資信託の中身をきちんと説明できない」と感じているのであれば、それは決して特別なことではありません。むしろ、多くの人が同じような状態です。その“なんとなく選んだオルカン”をきっかけに、一歩踏み込んで投資を理解していくことが、投資の成長としての次のステップにつながります。
「オルカンだけでいいのか?」という疑問は、インデックス投資を始めた多くの人が一度は感じるものです。
結論からいえば、オルカンはそれ単体でも非常に完成度の高い投資先です。たとえば、オルカンのようなファンドは、世界中の株式に分散され、しかもその配分は時価総額に応じて自動的に調整されます。
投資の基本である「長期・積立・分散」という観点でいえば、世界経済に分散をするオルカンをコツコツ積立で長期にわたって保有することで、この原則が自然に実現します。しかも低コストですから、投資家にとって非常に魅力的な投資先といえるでしょう。
それでも「オルカンだけでは不安。何かを足した方がいいのではないか」と感じるのは自然なことです。この感覚は間違いではなく、むしろ投資を一歩進めようとしているサインとも言えます。
オルカンの不足を補うのではなく「意思を上乗せ」する
ここで重要なのは、オルカンを改めて理解したうえで、「不十分だから何かを足す」のではなく、「自分の意思を“意図的に”上乗せする」という発想です。オルカンが市場全体の平均だとすれば、そこに何を加えるかは、自分がどんな未来を想定しているか、どんなリスクを取りたいかによって変わってきます。
ここで、オルカンの基本を改めて整理しておきましょう。
オルカンは、先進国から新興国まで、世界中の株式市場に広く分散投資を行うインデックスファンドです。その配分は、各国や企業の「時価総額」に応じて決まっており、現在の世界経済の構造をそのまま反映しています。
時価総額とは、企業の大きさを示す指標で、株価と発行株数から計算されます。つまり、どの国や企業が成長するかを自分で予測する必要がなく、「世界経済の成長そのもの」に投資できる仕組みになっているのです。
つまり、オルカンを保有するということは、「どの国や企業が成長するかを自分で選ぶ」のではなく、「世界全体の成長をまるごと取り込む」という投資をしていることになります。特定の地域やテーマに偏ることなく、非常に合理的で再現性の高い方法です。
このように、オルカンはそれ単体でも十分に分散が効いた、いわば“完成されたポートフォリオ”です。そのため、多くの人にとってはコア(中心)資産として長期的に保有し続けるに値する、非常に優れた選択肢といえるでしょう。オルカンをやめるのではなく、“軸として持ち続ける”ことが前提です。