はじめに

米国株、小型株、日本株…何を足してどう運用する?

その上で、「もう少しこうしたい」という自分の考えが出てきたときに、オルカンをベースにしながら、一部をサテライト(補助的な投資)として追加していく、という考え方が有効になります。

例えば、今後も米国の成長が続くと考える人であれば、S&P500に連動するファンドを少し加えることで、米国の比率を高めることができます。オルカンにも米国株は多く含まれていますが、あえて上乗せすることで「より強く米国に賭ける」形になります。これは非常にシンプルで、多くの人が取り入れている方法です。

一方で、より高いリターンを狙いたいと考える場合は、小型株への投資という選択肢もあります。小型株は値動きが大きく、短期的には不安定ですが、長期的には大型株よりも高いリターンを生む可能性があるとされています。これはリスクが高い分だけリターンも高くなる「リスクプレミアム」が働くためです。オルカンは時価総額加重のため大型株の比率が高くなりがちですが、そこに小型株を加えることで、ポートフォリオに成長の余地を取り込むことができます。

また、新興国の成長に期待する人もいるでしょう。将来的に経済規模が拡大する可能性のある国々に投資することで、大きなリターンを狙うことができます。ただし、新興国は政治や為替の影響も受けやすく、値動きも大きいため、あくまで一部にとどめるのが現実的です。オルカンにも新興国は含まれていますが、比率はそれほど高くないため、意図的に増やすという考え方になります。

日本株を増やしたいという考え方もあります。日本に住んでいると、どうしても国内経済への関心や安心感が強くなるものです。例えば、TOPIXや日経平均株価といった日本株の代表的な指数に連動するファンドを加えることで、日本株の比率を高めることができます。また、読売株価指数(読売333)のように、より分散された指数を選ぶ考え方もあります。これは合理性だけでなく、心理的な安心感という意味でも一定の価値があります。

一方で、リスクを抑えたい場合には、債券を組み合わせる方法があります。株式だけのポートフォリオは長期的なリターンは高いものの、短期的な変動は大きくなります。そこに債券を加えることで、値動きを穏やかにし、暴落時のダメージを軽減することができます。特に長く投資を続けるためには、精神的に耐えられるかどうかも重要な要素です。

さらに、インフレへの備えとしてREIT(不動産投資信託)を加えるという考え方もあります。不動産は物価上昇とともに価値が上がる傾向があるため、インフレ対策として機能することがあります。オルカンは株式のみで構成されているため、REITは基本的に含まれておらず、ここに不動産という異なる資産を加えることで、分散の幅を広げることができます。

「オルカン8割+自分なりの2割」がバランスのよい設計

このように見ていくと、オルカンに何かを加えるという行為は、「不足を補う」というよりも「自分の考えを反映させる」という意味合いが強いことが分かります。重要なのは、やみくもに増やすのではなく、「なぜそれを加えるのか」を明確にすることです。理由が曖昧なまま商品を増やしてしまうと、ポートフォリオが複雑になるだけでなく、下落時に判断がぶれてしまう原因にもなります。

基本としては、ポートフォリオの7割から8割程度をオルカンで構成し、残りの2割から3割で自分の意思を表現する、という形がバランスの良い設計といえるでしょう。これであれば、世界全体の成長を取り込みつつ、自分なりの期待や戦略も反映させることができます。

オルカンはあくまで「完成された平均点」です。そこに何を足すかによって、ポートフォリオはその人の考えを映すものになります。ステップ1がオルカンだとすれば、ステップ2は「自分なりの投資を作ること」です。その一歩をどう踏み出すかが、長期投資の面白さでもあり、難しさでもあります。

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