はじめに
長いようであっという間だった年末年始が終わって、仕事も通常運転に戻っている頃でしょうか。少し浮かれ気味だったお正月を冷静に振り返り、「年末年始で随分お金とエネルギーを使ったなあ」と、薄くなった財布にため息をついている方は多いかもしれません。
年末年始の帰省の記憶が新しいうちにコストを見直し、次回のお盆や正月の帰省をよりスマートにするワザについて、考えてみたいと思います。
4人に1人は東京圏からいなくなる
国立社会保障・人口問題研究所の「第7回人口移動調査」によると、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に住む地方出身者の割合は36.7%です。また、フォトブックサービスを展開するアスカネットが行った意識調査では「年末に帰省する人は70.6%」との結果が出ています。
東京圏の人口は約3,500万人ですから、そのうち約1,300万人が地方出身者になります。その7割に当たる約920万人が帰省すると、ざっくり4人に1人は関東からいなくなってしまう計算です。
都内を年末年始に歩いていると、人が少なくて寂しくなった印象を受けますが、一時的に人口が減っているので、この印象は正しいものといえそうです。
帰省はコスト高でかなりの大仕事
年末年始と同様に、帰省客で混雑するのがお盆です。自家用車を保有していて、お盆の時期に実家へ帰省する1,000人を対象に行ったソニー損害保険の調査によると、実家への帰省手段によって金額はかなり異なることがわかりました。
自動車が平均1万7,265円、鉄道は4万0,527円、飛行機は6万5,656円となり、いずれもかなりの高コストと見ることができます(いずれも1世帯当たり)。これはお盆の帰省に関する調査結果ですが、年末年始はさらに帰省する人が増えると考えられます。また、こうした交通費に加えて、お正月料理の購入費用なども重くのしかかります。
費用面だけでなく、移動の労力もかなりのものです。同じアンケートでは、自家用車を使った帰省を選んだ人は88.6%でした。自家用車を保有している人を対象にした調査なので、いくらか割り引いて考える必要はありますが、それでも自動車での移動で費用を節約したいという意図の現れとみることができそうです。
とはいえ、帰省ラッシュ時の車での移動は渋滞などもあり、体力的にかなりハードです。また、帰省後も親戚や近所への顔合わせなどが続きます。お正月はのんびりとしたものというより、移動の際の労力と大きなコストを伴うものと見ている人は多いようです。
正規料金では自動車に軍配
「長時間移動がつらいけれども、コストは安く済む」というイメージの強い車での帰省ですが、コストを見える化すると、実はそれほど劇的な削減にはならないことがわかります。夫婦と子供1人の3人家族が「自動車」「新幹線」「飛行機」で帰省する場合のコストを見てみましょう。
【自動車での帰省】
・区間…東京駅(八重洲)→大阪駅(梅田)
・距離…約520キロメートル
・高速料…1万1,000~1万3,000円(ETC割引料金)
・ガソリン代…8,000円前後(燃費10キロメートル、ガソリン代150円で計算。いずれも1リットル当たり)
混雑する高速道路の移動によりだいたい7~8時間かかり、交通費はトータル2万円ほどです。
【新幹線での帰省】
・区間…東京駅→新大阪駅→梅田駅
・自由席…1万3,820円(乗車券8,750円+特急料金4,870円+年末年始料金200円)
指定席を選ぶと、上記の金額に500~800円前後の金額がプラスとなり、3人では4万1,460~4万3,950円と、車での移動の2倍以上の費用となります。
また、指定席が取れなかった場合は自由席に座ることになりますが、年末年始の乗車率はおおむね150~160%ですので、「自由席で座りたい」と思うならば、早朝など空いている時間帯を狙うか、座るために1~2時間列を作って待つ必要があります。新幹線での帰省はあまり楽な選択肢に思えません。
【飛行機での帰省】
・区間…東京駅→羽田空港→伊丹空港→大阪駅
・通常料金…3万~3万2,000円(飛行機代)+1,057円(電車代)
年末年始は飛行機のフライト料金が通常期に比べてかなり高騰するため、家族3人では9万3,000~9万9,000円と、かなり割高になる計算です。多くの人にとっては、財布の痛い移動手段ではないでしょうか。