はじめに

2026年春、私立高校授業料の無償化が本格スタートし、高校受験の空気が変わり始めています。「私立は経済的に難しい」と感じていた家庭でも、“選択肢に入るようになった”という声が増える一方で、「思った以上に初期費用がかかった」という声も聞かれます。

無償化初年度となった今春、現場では何が起きていたのでしょうか。進路選びと教育費のリアルを最新調査や現場の保護者の声を交え、まさに新高校1年生の親でありFPである筆者の視点で整理します。


「私立は無理」が変わり始めた2026年春

2026年の春は33道府県で公立高校平均志願倍率が1倍を下回るというニュースが話題となり、私立高校授業料実質無償化の影響による“公立離れ”が報じられました。背景にあるのは、「私立=学費が高すぎて難しい」という従来のイメージの変化です。

特に子どもの人数が多い家庭や、大学費用との両立を考える家庭ほど、「授業料負担が軽くなるなら私立も考えたい」という声が大きくなっています。

実際、個別指導塾を全国展開する明光義塾が2026年4月に私立高校へ入学した新高校1年生の保護者450名を対象に実施した調査では、約3割の家庭が「無償化がなければ公立進学を選んでいた」と回答しています。制度が、進路選択そのものを変え始めているのです。

無償化でも“完全無料”ではないという現実

ただし、ここで注意したいのが、「無償化=お金がかからない」ではないという点です。無償化と表現されている国の高等学校等就学支援金制度とは、所得制限は撤廃されましたが、あくまで「授業料」の支援だけです。公立なら授業料が全額カバーされますが、私立であれば上限額の457,200円を超えた分は保護者が支払うことになります。

実際に進学した家庭からは、「制服代がオプション購入でどんどん膨らんでいった」
「タブレット購入が必須だった」「施設費や教材費が想像以上だった」など、“授業料以外”の負担に驚いたという声も少なくありません。

明光義塾の調査でも、入学時に発生した授業料以外の初期費用総額について、約半数の家庭が想定より高く、30万円以上を負担したと回答しています。特に、制服費・修学旅行積立の他、タブレット購入など教材費の負担感を挙げる家庭が多いようです。

また、無償化制度の利用にあたり、申請から認定が下りるまでの期間の「授業料立て替え負担が大きかった」という家庭が過半数であったことから、志望校の支援金充当の方法がどうなっているのか調べておく必要もありそうです。

高校受験では、「毎月いくらかかるか」だけではなく、“入学前後にいつ・いくら必要か”を把握する視点が欠かせません。

具体的には、入学金・制服代・タブレット端末・教材費・副教材費・修学旅行積立・部活動用品・通学定期代などが重なり、入学前後に数十万円単位の支払いが発生します。クレジットカードは使えるのか、振込なのか、購入時に即現金なのかも事前に確認しておくと安心です。

つまり、「授業料が無償だから安心」と考えるより、“最初に必要な現金の正体”を知ることが、今の受験では重要になっています。

今すぐスマホでやるべきアクション

ここで、中3家庭にぜひ今やってほしいことがあります。それは、「自治体独自の上乗せ支援」を調べることです。自治体によっては、授業料だけでなく、入学金や施設費、教材費などにも独自の支援金を設けているケースがあります。検索ワードは、「(自治体名) 高校無償化 上乗せ」です。

東京都や大阪府のように、独自支援が手厚い自治体もあります。受験勉強が本格化する夏前に、自分の住む地域で“どこまでが無償なのか”を確認しておくことで、「来春までにどんな現金準備が必要か」が見えやすくなります。

「私立は塾代の先払い」という考え方も

近年の私立人気を支えている理由のひとつに、「学校内で学習サポートが完結しやすい」という点があります。

例えば、朝や放課後の補習、長期休暇中の講習、大学受験対策(年末年始の手厚い講習)、予備校講師との連携などがカリキュラム内に組み込まれているケースも少なくありません。保護者の中には「私立は塾代の先払い」という感覚で学校を選ぶ人もいます。

一方、公立を選んだ場合でも、大学受験を見据えて早い段階から塾を利用する家庭は少なくありません。特に地方では、「県立校+同校特化クラス設置の地域密着塾」という組み合わせが定番になっている地域もあります。公立校で目標にされることの多い推薦入試や国公立大学進学を目指す場合、高校1年時から定期テスト対策をする必要があるからです。

「部活と両立しながら内申を確保するには、塾のサポートが欠かせない」と感じる保護者もいます。授業料だけを見ると公立高校の方が安く見えても、塾代、季節講習費、模試代などを含めると、3年間でまとまった教育費が必要になることがあります。

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