はじめに
日経平均株価が7万1,250円で終了し、過去最高値更新のニュースが市場を賑わせています。しかし、その華やかな相場の裏で“一人負け状態”となっているのが「東証グロース市場」です。将来の成長が期待されるベンチャー企業が集まる市場にもかかわらず、なぜ年初来安値水準まで急落しているのでしょうか。
本記事では、「パワーエックス」のロックアップ解除や、宇宙関連株・大型IPO「GO」の軟調な値動きなど、足元でグロース市場を直撃している下落要因を紐解きます。
日経平均が最高値更新の一方で、低迷する「グロース市場」
先週末の日経平均株価は7万1,250円で終了し、過去最高値を更新しました。上昇の要因は、世界的なAI・半導体関連の特需による日本企業の業績向上や、米・イランの戦闘終結に向けた暫定合意の覚書が署名され、地政学リスクが後退したことなどが挙げられます。
その陰で、低迷する市場があるのをご存知でしょうか。東証グロース市場です。先週末もグロース250指数は20ポイント安の695ポイントで終了しました。日経平均が過去最高値を更新して沸き立つ中で、皮肉にも年初来安値水準まで下落しています。
グロース市場とは、将来的な高い成長可能性を持つスタートアップやベンチャー企業向けの株式市場です。しかしここ数年は、一時的に元気を取り戻す場面があっても、すぐに急落する展開が目立ちます。なぜこのような状況に陥っているのでしょうか。
下落の大きな要因は「パワーエックス」のロックアップ解除
直近のグロース市場の下落要因の1つとして、パワーエックスの株価推移が考えられます。同社は、大型蓄電池の製造・販売やEV向け超急速充電インフラの展開、さらに電気運搬船や蓄電型発電所の開発を行う企業として、2025年12月19日にグロース市場へ上場しました。
再生可能エネルギーの普及やAIデータセンターの増加に伴い、大型蓄電池の需要が急増。同社の受注残高が順調に積み上がっていることが評価され、2026年5月にはグロース市場の時価総額トップに躍り出ました。
しかし、同社は先週、ロックアップ解除期間を迎えました。ロックアップとは、主に新規上場(IPO)の際、創業者の経営陣やベンチャーキャピタルなどの大株主が、上場直後の株価の乱高下を防ぐために証券会社などと結ぶ「一定期間(通常90日~180日間など)、保有する株式を売却しない」という契約のことです。この制限期間が過ぎるか、株価があらかじめ決められた目標値に達するとロックアップが解除されます。すると、これまで売れなかった大量の株式を市場で売却できるようになるため、株価の下落リスクが高まるとされています。
同社の大株主による売却を制限するロックアップ期間は、上場180日後の6月16日までとなっており、翌17日に解除されました。同社は株主にベンチャーキャピタルが含まれていることもあり、需給悪化への警戒感などから株価は大幅に下落し、市場全体への重しとなりました。