はじめに
日本を代表する成長株、リクルートホールディングス(6098)の株価が、いよいよ上場来高値の更新をうかがう勢いになってきました。6月に入って11,000円台を回復し、2024年につけた高値11,895円まであと一歩のところまで迫っています。時価総額は約17兆円と、日本でも有数の規模。きっかけは好決算と、それを受けた証券会社の相次ぐ「格上げ」です。今のリクルートに何が起きているのか、決算の中身から読み解いてみます。
HRテクノロジーが利益の伸びを牽引「決算の中身」
まず数字を確認しましょう。2026年3月期は売上収益3兆6,973億円(前期比3.9%増)、営業利益6,305億円(同28.5%増)、純利益4,969億円(同21.6%増)と、過去最高益を更新しました。売上の伸びは1ケタなのに、利益は約3割増。つまり効率よく稼ぐ力がぐっと高まったわけです。事実、自己資本利益率(ROE)は31.0%と、日本企業のなかでも際立って高い水準にあります。
リクルートの事業は、Indeedなどの「HRテクノロジー」、国内外の「人材派遣」、じゃらんやホットペッパーなどの「マーケティング・マッチング(MMT)」の3本柱。今回はこの3事業すべてが増収増益となり、なかでもHRテクノロジーが利益の伸びを牽引しました。
2027年3月期も、会社は実質的な利益で前期比19.5%増、1株あたり利益で27.8%増と、もう一段の大幅増益を計画しています。
主役は“Indeed”、AIがマッチングを進化させる
利益を牽引しているのが、世界最大級の求人サイト「Indeed」を中心とするHRテクノロジー事業です。2026年3月期はこの事業の利益率(売上に対する実質的な儲けの割合)が37.7%と過去最高を記録。とりわけ米国では、求人1件あたりの収益(ARPJ)が17%伸び、企業がお金を払ってでも上位に表示したいと考える有料の仕組みが浸透しています。
CEOの出木場氏は、AIを使って求職者と企業のマッチング精度を高めることで、「採用需要が正常化すれば売上成長率20%以上、利益率50%超も十分に可能」と強気の見通しを語っています。景気の波はあるものの、AIという武器で稼ぐ力を底上げしているのが、今のリクルートの姿です。なお、国内のIndeedは前期比マイナスと足踏みしていますが、これは求人広告を「Indeed PLUS」に統合する過渡期によるもの。米国・欧州の力強い伸びが、それを補って余りある構図です。
ちなみにリクルートは2012年に米Indeedを買収して以来、海外で稼ぐ会社へと大きく姿を変えてきました。国内の求人情報誌からスタートした会社が、いまや世界の採用インフラを握る存在になっているわけです。
証券会社の「目標株価引き上げ」が追い風に
そしてもうひとつ、足元の株価を勢いづけているのが、証券会社の評価の上方修正です。6月中旬、複数の証券会社がリクルートのレーティングを引き上げ、目標株価も相次いで増額しました。大手証券は投資判断を「中立」から「買い」へと格上げし、その理由としてHRテクノロジー事業の収益力を高く評価したと報じられています。プロがここからまだ上がると判断を変えたことが、機関投資家の買いを呼び込み、株価を上場来高値圏へと押し上げているのです。