はじめに

人生100年時代といわれる今、資産形成への関心はかつてないほど高まっています。2024年の新NISA制度開始以降、投資を始めた方も多いでしょう。しかし、老後に向けて「リスクを取らずに確保しておきたいお金」が銀行口座に眠ったままになっていませんか。金利が上昇傾向にあるとはいえ、普通預金の金利はいまだ低い水準にとどまっています。

本記事では50代の夫婦を例に、「リスクを取らない守りのお金の置き場所を考えたい」という方に、「個人向け国債」という選択肢をご紹介します。


老後資金を意識し始めた50代のAさんご夫婦

お子さまがすでに独立し、住宅ローンの返済も残り僅かという50代のAさんご夫婦は、ライフイベントがひと段落したことで、本格的に老後資金を意識するようになりました。

AさんはNISAで資産運用をしているものの、個別株など積極的な資産運用に手を出すことを躊躇しており、守りの資産として位置付けたい1,000万円の置き場所に悩んでいました。守りの資産とはいえ、1,000万円を普通預金に入れたまま放置するのはもったいないと感じているAさんは、安全資産である個人向け国債の存在を知り、守りの資産の移動先として検討することにしました。

個人向け国債とは何か

個人向け国債とは、原則として個人だけが購入できる国債で、証券会社・銀行・郵便局などの金融機関で購入することができます。特徴として、以下の点が挙げられます。

1.元本割れなし(国が元本と利子の支払いを保証)
2.年率で0.05%の最低金利保証
3.1万円から購入可能
4.年2回利子を受け取れる
5.毎月発行される
6.発行から1年経過後は1万円から中途換金可能※
※直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。

金利は募集月毎に異なりますが、2026年6月に募集された個人向け国債の金利は以下のとおりです。(全て税引き前)


・変動10年:1.74%
・固定5年:1.86%
・固定3年:1.51%


個人向け国債と同じく安全性の高いお金の置き場所として定期預金があります。例えば5年定期預金の金利は、メガバンクで0.70%、キャンペーンを活用することによりSBJ銀行で1.55%(いずれも2026年6月時点)となっています。これらの例からもわかるように、基本的には個人向け国債の方が定期預金よりも金利は高いといえます。

1年未満の短期の預け入れを想定する場合は、定期預金も有力な選択肢の一つです。しかし、Aさん夫婦のように「老後に向けてリスクは取りたくないが普通預金ではもったいない」という悩みを抱えている方にとっては、複数年の運用でより高い金利が適用される個人向け国債の方が魅力的な選択肢となります。

3種の個人向け国債の使い分け

個人向け国債には、金利が変動する「変動10年」、金利が固定されている「固定5年」および「固定3年」の3種類があります。それぞれの特徴を理解した上で、目的に合わせて購入対象を決定することが大切です。

変動10年
半年毎に金利が見直される商品であり、金利上昇局面では利子が増えるメリットがあります。今後も金利上昇が続くと考え、その恩恵を受けたい方に向いています。満期は10年と最も長いですが、発行から1年経過すれば中途換金が可能なため、長期保有を志向しながらも柔軟に対応できる点も魅力です。

固定5年
購入時の金利が5年間固定される商品であり、2026年6月の募集では3種類の中で最も金利が高くなっています。発行額もこの1年ほどは3種類の中で最も大きく、人気のある商品です。金利がピークに近いと感じている方や、金利の変動リスクを避けたい方に向いています。変動10年と同じく、発行から1年経過すれば中途換金が可能です。

固定3年
購入時の金利が3年間固定される商品であり、満期が短いことから、数年以内に使う予定のあるお金の置き場所として向いています。発行から1年経過すれば中途換金できるのは他の2つと同様です。

判断に迷う場合は、しばらく使う予定のない老後資金などには変動10年または固定5年、数年以内に使う可能性があるお金には固定3年という考え方を一つの目安にするとよいでしょう。

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