はじめに

日経平均株価が7万円を超えました。NISAで投資デビューをした方も、まだ投資を始めていない方も、このニュースを見て驚いた方は多いのではないでしょうか。株価が大きく上昇する様子を目の当たりにして、「今から投資を始めてもいいのだろうか」「もう遅いのではないか」と感じている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、株価が大きく上昇している今だからこそ、私たちが冷静に考えておきたいことをお伝えします。


活況な相場だからこそ「始めるタイミング」をどう考えるか

株価の上昇は、企業業績への期待や景気の先行き、金融政策など、市場参加者のさまざまな見方が反映された結果です。NISAの普及によって投資がより身近になり、これまで投資に縁がなかった人たちも「自分ごと」として経済を感じられるようになりました。これは日本にとって大きな前進といえるでしょう。

経済成長の恩恵を家計の資産形成につなげられることは、資産運用の大きな魅力です。これまで投資に不安を感じていた方でも、NISAを通じて資産が増える経験をしたことは、とても意義のあることだと思います。

一方で、まだ投資を始めていない方からは、「今から投資を始めても遅いのでは?」という声も聞こえてきます。投資をしていない方ほど、「市場は過熱していて、もう危ないのでは」という見方をしがちですが、長期で資産形成を考えるのであれば、相場のタイミングを待つよりも、自分が始められるタイミングで少しずつ始めることが大切です。なぜならば、経済はアップダウンを繰り返しながら成長していくものだからです。

ただし、株価が上がっている今だからこそ、冷静に見ておきたいポイントがあります。

視点1:話題性だけで投資を始めてはいけない

まず一つ目は、話題性だけで投資を始めてはいけないということです。

例えば、最近はAI関連企業や半導体関連企業がニュースで取り上げられる機会が増えています。しかし、名前は知っていても、その企業がどのような事業を行い、社会にどのような価値を提供しているのかまで理解している人は、それほど多くはないでしょう。

投資とは、単に「株価が上がっているから買う」ものではありません。雰囲気で投資をするのではなく、その企業がどのような価値を社会に提供しているのか、その技術やサービスがどのような未来をつくろうとしているのかを理解して初めて、投資は自分の意思を伴った行動になります。

視点2:「日経平均」の上昇=市場全体の好調ではない

二つ目は、株価が7万円を超えたからといって、市場全体が同じように上がっているわけではないということです。

ここでは、日本株を代表する二つの指数である日経平均株価とTOPIXの違いを見てみましょう。

■日経平均株価
・225銘柄を対象とした株価平均型指数
・株価の高い「値がさ株」の影響を受けやすい
・一部の大型株が上昇すると指数全体も大きく動きやすい

■TOPIX
・東証プライム市場全体を時価総額ベースで算出
・市場全体の動きをより反映しやすい

つまり、日本を代表する二つの株価指数ではありますが、採用銘柄や算出方法が異なるため、日経平均株価が大きく上昇していても、市場全体が同じように上昇しているとは限りません。

例えば、2026年5月末日時点の年初来騰落率では、日経平均株価は約31.76%上昇している一方、TOPIXは約13%の上昇です。この背景には、AIや半導体関連など一部の大型株に買いが集中したことがあります。日経平均株価は株価が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすいため、一部の銘柄の上昇が指数全体を押し上げることがあります。つまり、日経平均株価が過去最高値を更新していても、日本企業すべてが同じように好調というわけではありません。

実際、足元では、半導体関連は好調な一方で、内需株や一部の製造業は伸び悩むなど、業種によって明暗が分かれています。

ニュースでは「日経平均株価が過去最高値」と大きく報じられますが、その数字だけを見て「みんな儲かっている」「日本企業はどこも好調」と考えるのは早計です。指数は市場の一面を映しているに過ぎず、その中身まで見ることが、投資家には大切な視点です。

つまり、「株価7万円」と話題になっていても、「みんなが儲かっている」わけではないのです。

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