はじめに
新NISAは、運用益が非課税になる使いやすい制度です。ただし、老後資金として活用するなら、増やした資産をいつ、誰が、どう使うかまで考えておく必要があります。 認知症による口座凍結、介護施設の資産判定、相続時の扱いなど、50代以降に見落としやすい出口の論点を整理します。
新NISAで見落とされやすい「使う」場面
新NISAは「増やす制度」としては非常に使いやすい一方で、高齢期にどう使うか、本人が動かせなくなったらどうなるか、介護・相続の場面でどう見られるかまで考えると、見落としやすい点があります。
NISAを活用すべきかという問いには、株式投資を検討するのであれば、ぜひ活用すべき制度だといえます。運用益が非課税になり、非課税保有期間も無期限になったことで、以前のNISAよりも長期の資産形成に向いた仕組みになりました。年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円、合計で年間360万円です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠だけで使えるのは1,200万円までです。ここまでは多くの方がご存じだと思います。
NISAについて考えるときに見落とされやすいのは、「どう増やすか」よりも「どう使うか」です。
NISAは年金のように、決まった日に自動で生活費が振り込まれる制度ではありません。あくまで、株式や投資信託などの運用益を非課税にするための口座です。老後資金として活用するなら、必要なタイミングで自分で売却して現金化し、生活費や介護費に充てる必要があります。
つまり、NISAは入口よりも出口の設計が大切なのです。
50代以降に必要な出口の設計
若い世代であれば、まずは長期・積立・分散を意識しながら、できるだけ長く非課税で運用するという考え方でよいと思います。
一方、 50代以降にNISAを始める場合は少し違います。50代から始めても遅くはありません。むしろ、退職後の生活を見据えて、自分で老後資金を作る最後のまとまった時間ともいえます。
ただし、20代や30代のNISAと同じ感覚で、「とにかく長期で持てばよい」と考えるだけでは不十分です。50代以降は、「何歳まで増やすのか」「何歳から取り崩すのか」「70代、80代になって自分で操作できなくなったとき、誰が手続きをするのか」まで考えておく必要があります。