はじめに
1日に数千円単位で上下するなど、かつてないほどの乱高下を繰り返している日経平均株価。米国の金利低下という追い風があるにもかかわらず、市場を牽引してきた半導体などハイテク株が急落する不可解な動きも見られます。
マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO(旧:マネーフォワード ME イベント&セミナー)」で毎週日曜19時よりレギュラー放送中の「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」。本番組では、クオンツ分析の専門家である大川智宏氏とDJ Nobby氏が最新の相場動向を解説しています。
今回の動画では、Appleの動向から紐解く「半導体バブル」に潜むリスク、話題の「官民370兆円投資」のからくり、そして半導体相場の裏でプロが密かに注目する「ソニー」や「トヨタ」など日本を代表する優良株の投資妙味について詳しく解説します。
・日経平均が激しく上下する本当の理由: 一部のAI・半導体企業にばかり資金が集中しすぎたことで、市場全体が不安定になっている問題について。
・Appleの中国依存が招く? 反導体バブルのリスク: Appleが中国から半導体を調達する可能性と、それがもたらす半導体価格下落のシナリオ。
・「ゲームに24兆円」官民370兆円投資のからくり: 巨額の国家予算が投入されると勘違いしやすい、投資計画の「数字のマジック」への注意喚起。
・「ソニー」と「トヨタ」に注目する理由: 半導体に資金を吸われていた優良銘柄の反発余地と、「フィジカルAI」への期待。
日経平均乱高下の裏にある「ハイテク株への資金集中」
現在の日経平均株価は、1日の値幅が非常に大きく、ボラティリティ(価格変動率)が高い状態が続いています。大川氏によれば、この乱高下の背景には「AI・半導体銘柄への過度な資金集中」という構造的な問題があるといいます。
NVIDIA(エヌビディア)をはじめとする一部のハイテク企業が急激に成長し、時価総額が天文学的な数字になった結果、市場全体に対する1銘柄の持つウェイトが大きくなりすぎているのです。そのため、巨大銘柄が少し利益確定で売られるだけで、市場全体が大きく揺さぶられてしまう環境になっています。
Appleの動向に見る、半導体価格「暴落」のリスク
先日、米国の金利上昇懸念が和らいだにもかかわらず、半導体関連株が大きく売られる局面がありました。この不可解な動きの裏には、水面下で進む「あるリスク」を市場が織り込み始めた可能性があると大川氏は指摘します。そのリスクの引き金となり得るのが「Apple」の動向です。
現在、AIやデータセンター需要で半導体メモリが不足し、価格が高騰しています。これに対し、Appleが部品不足とコスト高を補うため、米国のブラックリストに載っている中国企業から半導体を調達しようとしているという報道が出ました。「もしAppleなどの巨大企業が中国から安価に半導体を調達できるようになれば、現在の極端な供給不足は緩和されます。そうなれば、高騰していた半導体価格が一気に崩れ、関連企業の収益悪化に直結します」と大川氏。市場はこうした「仮需(過剰発注)」の剥落リスクを敏感に察知し、利益確定を急いだ可能性があるのです。
「ゲームに24兆円」官民370兆円投資のからくり
国内の話題に目を向けると、政府が打ち出した「官民で370兆円の投資」が注目を集めています。中でも、ゲームなどのコンテンツ産業への投資額が「24.5兆円」とされていることに驚きの声が上がりました。しかし、大川氏はこの数字に飛びつくことへ警鐘を鳴らします。
「この巨額の数字は、国が新たに税金を投入する額ではありません。民間企業がすでに計画している中期経営計画などの事業投資額を足し合わせ、そこに国からの支援を少し乗せただけのものである可能性が高いのです」。ゲームなどすでに成熟・成長している分野は民間投資が大きいため、数字上は巨額に見えます。見せ方の「数字のマジック」に騙され、国策だと早合点して関連株に飛びつくのは危険な行為と言えそうです。
半導体の次に資金が向かう? 「ソニー」と「トヨタ」
半導体やハイテク株の先行きに不透明感が漂う中、プロの投資家はどこに目をつけているのでしょうか。動画内の「大川道場」のコーナーで、大川氏がポジティブに評価したのが、日本を代表するグローバル企業「ソニーグループ」と「トヨタ自動車」です。これらの銘柄は、これまで好業績を発表しても株価が低迷する傾向にありました。大川氏はその最大の理由を「AI・半導体バブルによる投資資金の吸収」だと分析します。
「半導体株が急騰していた期間、これらの優良銘柄からは資金が抜け、割安な状態(ミスプライス)で放置されていました。半導体の熱狂が落ち着けば、業績が伴っているこれらの企業に資金が戻ってくる可能性は十分にあります」。また、日本が強みを持つ工場の自動化技術(ファナックなど)とAIを掛け合わせた「フィジカルAI」がトヨタの製造現場などに導入されれば、再び世界で大きな競争力を持つことへの期待も語られました。
乱高下相場の中で、市場の熱狂から一歩引き、次に資金が向かう「適正価格の優良株」を見極める視点が、今の投資家には求められています。より詳細な相場分析やプロのリアルな視点については、ぜひ動画本編でお楽しみください。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。