はじめに
AI関連株や半導体株の値上がりが続いています。「もう高すぎるのでは」「そろそろ天井ではないか」と不安に感じる方も多いでしょう。実際、このような声は相場が上昇するたびに聞かれます。しかし、株式市場では「高くなったから終わり」とは限りません。相場が終わるときには、もう一つの特徴があるからです。
AI・半導体株の相場は「高すぎる」から終わるわけではない
経済学者チャールズ・キンドルバーガーは、バブルの歴史を研究し、「熱狂」が相場の最終局面をつくると説明しました。投資家が冷静に企業の価値を考えるのではなく、「もっと上がるはずだ」という期待だけで買い続ける状態です。過去のITバブルでも、こうした熱狂がピークを迎えたあとに株価は大きく下落しました。
では、現在のAI関連株はどうでしょうか。確かに株価は大きく上昇しましたが、市場全体が極端な熱狂状態にあるとは言い切れません。企業業績は依然として拡大しており、AI向けデータセンターへの投資も続いています。株価だけが先走っているというより、利益の成長もある程度伴っている状況です。
もちろん、今後も相場が一直線に上昇するとは限りません。AI投資が過剰ではないか、半導体の需要が鈍るのではないか、といった懸念が話題になることもあるでしょう。そのたびに株価が調整する場面は十分考えられます。しかし、それだけで長期的な上昇トレンドが終わるわけではありません。過去の大きな上昇相場でも、途中には何度も調整局面がありました。
また、株式市場には金利の動きも大きく影響します。一般的に金利が低い環境では、企業は資金を調達しやすくなり、投資家も株式に資金を向けやすくなります。そのため、金利の引き上げが急速に進まなければ、株式市場には追い風が続く可能性があります。
ITバブルとの比較。「CAPE(シラーPER)」が示す現在の立ち位置
では、「AIブームはまだ続く」と考える理由は何でしょうか。その一つが、株価の割高・割安を長い目で判断する指標です。
株式市場には「PER(株価収益率)」という代表的な指標があります。これは株価が企業の利益の何倍まで買われているかを示すものです。ただ、企業の利益は景気によって大きく変動するため、1年だけの利益で判断すると、本当の割高・割安を見誤ることがあります。
そこで参考になるのが「CAPE(シラーPER)」という指標です。これは過去10年間の平均的な利益をもとに株価の水準を測る方法で、一時的な景気の影響を受けにくいという特徴があります。ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ロバート・シラー氏が考案したことでも知られています。
ITバブルのピークだった2000年には、このCAPEが歴史的に非常に高い水準まで上昇しました。当時は企業業績よりも期待が先行し、「インターネットが世界を変える」という熱狂が株価を押し上げていたのです。
一方で、現在のAIブームでは株価は大きく上昇しているものの、企業の利益も同時に伸びています。そのため、CAPEはITバブル当時ほど極端な水準には達していません。もちろん将来のことは誰にも分かりませんが、「過去最大級のバブルと同じ状況になっている」とまでは言えないという見方もできます。