はじめに

1日に数千円単位で上下するなど、かつてないほどの乱高下を繰り返している日経平均株価。これまで市場を力強く牽引してきた半導体関連銘柄が急落するなど、相場の潮目が大きく変わりつつあります。マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO(旧:マネーフォワード ME イベント&セミナー)」で毎週日曜19時にレギュラー配信されている「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツ分析の専門家である大川智宏氏とDJ Nobby氏が最新の相場動向を鋭く解説。

今回は、キオクシアのストップ安など衝撃的な週末の相場動向を受け、少しでも早く投資家の皆様へ情報をお届けするため、急遽スケジュールを前倒しして「緊急公開」された特別編です。

動画本編では、キオクシアの急落から読み解く半導体バブルの現状から、バブル期以来の時価総額日本一となった「三菱UFJ銀行」の強さ、そして注目の「サイゼリヤ」や「ゲーム株」などへの資金シフトまで、これからの投資のヒントになるトピックを紐解いていきます。

【この記事の主なトピック】
キオクシア急落に見る半導体バブルの足音:データセンター建設の遅れや巨額投資への懸念から、半導体の成長性に疑問符。過度な期待が剥落し、選別的な投資が必要な局面に
「三菱UFJ」が時価総額日本一に返り咲き:金利上昇の追い風を受け、銀行株が躍進。半導体相場とは独立した強い動きを見せており、ポートフォリオの安定剤として有効
半導体の資金は身近な「内需株」へシフト?:売られていた「ゲーム株」や、値上げしても安い「サイゼリヤ」などが反発。資金の逃避先として、身近な優良銘柄に投資妙味あり
大川道場「三菱ケミカルグループ」は買いか:構造改革が進むPBR1倍割れの総合化学メーカー。出遅れの「隠れ半導体銘柄」として大きなポテンシャルを秘めている

TSMC好決算でも売られるキオクシア。半導体バブルは終わるのか?

現在の株式市場で最も大きな波紋を呼んでいるのが、半導体メモリ大手・キオクシアの株価急落(一時ストップ安)です。奇妙なことに、直前に発表された半導体製造装置の世界トップ企業であるASMLや、半導体受託製造トップのTSMCの決算は「これ以上ないほど強い(市場予想を全て上回る)内容」でした。本来ならキオクシアの株価も上がって良いはずですが、大暴落を引き起こしています。

大川氏はこの「ねじれ現象」について、「投資家が『今の異常な成長が数年先も本当に続くのか?』と疑心暗鬼になり、資金を逃避させているため」だと指摘します。足元の需要は間違いなく強いものの、米国のニューヨーク州などで電力不足によりデータセンターの建設許可が下りない問題が発生しており、巨大IT企業による莫大な設備投資の持続性に疑問符がつき始めました。さらに、キオクシアが主力とするメモリ「NAND」特有の脆弱性もリスク視されています。AI需要で本来必要だった「DRAM」というメモリが供給不足に陥ったため、代替品としてNANDに特需が生まれましたが、「今後DRAMの供給が追いつけば、NANDは真っ先に不要になり売られやすくなる」と大川氏は分析します。

良い決算が出ても株価が下がるケースが増えており、これまでのように「半導体なら何でも上がるイケイケドンドンの相場」から、厳しい選別が行われるフェーズに移行したと言えそうです。

半導体の資金はどこへ? 「三菱UFJ」がバブル以来のトップに

半導体株から抜けた莫大な投資資金は、一体どこへ向かっているのでしょうか。その代表格が、バブル経済期以来となる時価総額日本一(一時的)に輝いた「三菱UFJフィナンシャル・グループ」をはじめとするメガバンクです。

大川氏は、「銀行株の強さは半導体からの資金移動だけが理由ではありません。国内の金利上昇という強力な追い風があるため、ハイテク株の不調とは独立して業績を伸ばせる強みがあります」と解説します。さらにマクロな視点で見ると、米国の金融大手JPモルガンが最高益を叩き出すなど、グローバルで金融セクターが絶好調です。2026年上半期の米国M&A(企業の合併・買収)市場は100億ドル超の超大型ディールが相次ぎ、過去最高水準の活況を呈しており、金融機関は莫大な手数料収入を得ています。日経平均が乱高下する中で、メガバンクは資産を守る・増やすための極めて手堅い投資先として、再び大きな存在感を放っています。

プロが注目する意外な逃避先「ゲーム・百貨店・サイゼリヤ」

さらに、大川氏が半導体からの資金の逃避先として注目しているのが、私たちに身近な内需・消費関連の銘柄です。これまで半導体の影に隠れていた「ゲーム関連株」が足元で強い反発を見せていますが、これは単なる資金移動だけではありません。「これまで半導体価格の高騰によってゲーム機の製造コストなどが圧迫されていましたが、半導体の需給が緩み価格が落ち着けば、ゲーム会社の利益率が改善する」という論理的な期待が働いているのです。

また、「百貨店(三越伊勢丹など)」も底堅い動きを見せています。インバウンド(訪日客)が減少しても業績が落ちない理由は、国内富裕層による宝飾品などの高級品消費が支えているためです。実際、カルティエなどを擁する欧州の高級ブランドグループ「リシュモン」の株価と国内百貨店の株価は強く連動しており、インフレ下におけるK字型経済(二極化)の勝ち組と言えます。

そして、身近な外食チェーン「サイゼリヤ」も熱視線を送る銘柄です。「サイゼリヤはついに値上げを示唆して株価が上がりました。インフレ下において『値上げをしても他より圧倒的に安い』というポジションは非常に強く、今後の業績を確実に押し上げます」と大川氏。相場の不確実性が高まる今こそ、こうした身近な優良株に大きな投資妙味が隠されています。

大川道場:出遅れ銘柄「三菱ケミカルグループ」は買いか?

動画の終盤、DJ Nobby氏が持ち込んだ銘柄をプロがジャッジする「大川道場」のコーナーでは、「三菱ケミカルグループ」が取り上げられました。大川氏は、同社が「田辺三菱製薬」の一部事業の譲渡や、炭素・コークス事業からの撤退など、痛みを伴う『構造改革(不採算事業の整理)』を着実に進めている点を高く評価しています。

「撤退に伴う一時的な費用の支払いが終わり、今後は好調な『半導体製造装置向けの素材事業』に経営資源を集中させようとしています。現状PBR(株価純資産倍率)が1倍を割っている状況は、まさに『出遅れの隠れ半導体銘柄』として大化けする可能性を秘めている」といいます。乱高下相場の中で、次に火を噴く「割安株」の探し方として、実践的な視点です。

より詳細な相場分析や、各銘柄に対するプロのリアルな視点については、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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