はじめに
保険の無料相談を利用し、月額3万円(年間36万円)の保険に加入したとします。では、その保険を販売した代理店には、どのくらいの手数料が支払われるのでしょうか。
実は、初年度の代理店手数料が年間保険料を上回る商品もあります。例えば、年間保険料36万円の保険で、代理店手数料率が130%だとすると初年度の手数料は46万8000円になります。さらに、2~5年目は代理店手数料率が7%で毎年約2万5200円、6年目以降は支払われないというケースもあります。合計すると約57万円になります。
もちろん、手数料は保険会社や商品、代理店との契約条件によって異なりますが、無料相談はボランティアではなく、保険会社から手数料を受け取るビジネスで成り立っていることは知っておきたいポイントです。
金融庁も手数料と販売状況を分析
2026年6月30日付の日本経済新聞と朝日新聞で報じられた記事によると、金融庁は複数の保険会社から、保険代理店への手数料と販売実績の関係を分析しました。その結果、手数料水準が高い商品ほど販売件数が多く、一方で解約率も高い傾向が見られたと報じられています。
手数料は保険商品ごとに異なります。一般的に定期保険より終身保険、さらに医療保険や変額保険の方が手数料は高いケースがあります。また、同じ種類の保険でも保険会社によって手数料水準は異なり、代理店との契約条件によっても変わります。
そして、手数料は2019年には約120%だったのが、2024年には約155%に上昇しているということです。
手数料の高い商品が優先される可能性は?
金融庁が問題視したのは、「手数料の高い商品が優先的に勧められていないか」という点です。
例えば、30代の子育て世帯で、もしものことがあれば、遺された家族は経済的に困る可能性があります。そのようなケースでは、収入保障保険や定期保険で備えることを検討したいところです。保険料は月額2000~3000円程度で済むこともあります。
一方、保険乗合代理店では、「保障と資産形成を両立できます」と説明され、月額3万円程度の変額保険を勧められることがあるかもしれません。変額保険は、投資信託などで運用する部分と死亡保障などを組み合わせた保険で、月額保険料が3万円程度になるケースもあります。当然、保険料が高くなれば、代理店に支払われる手数料も高くなる傾向があります。
しかし、これが本当に顧客にとって最適な提案なのかという点については、慎重に考える必要があります。
金融庁は、2019年から2024年の販売状況を分析した結果、手数料水準が高い商品ほど販売件数の増加が見られたと指摘しています。その背景には、手数料の高い商品が優先的に提案されている可能性があると考えられます。顧客のニーズよりも、販売側の事情が販売行動に影響している可能性があるのです。