はじめに
1日に数千円単位で上下するなど、かつてないほどの乱高下を繰り返している日経平均株価。米国のハイテク企業の好決算が発表されても、関連株が急落する不可解な動きも見られます。マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」で配信されている「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツ分析の専門家である大川智宏氏とDJ Nobby氏が最新の相場動向を鋭く解説しています。
今回の動画では、Googleの決算が引き起こした半導体株急落の真相から、大川氏が避けるべきと語る銘柄、そしてデータセンター関連として再び注目を集める「フジクラ」の今後の展望までを紐解きます。
Google好決算の裏で起きた波紋:クラウド事業などは絶好調な一方で、巨額の設備投資によりフリーキャッシュフローが四半期ベースで初の赤字転落。これがハイテク業界全体の「信用リスク増大」と捉えられ、急落の引き金に
悪材料が重なる半導体市場の現状:仮需(過剰発注)への懸念に加え、中国勢の台頭やニューヨーク州のデータセンター建設禁止など複数の逆風が重なり、銘柄の厳格な選別が必要なフェーズへ
大川氏が「テスラ」を避け「インテル」を評価する理由:人型ロボットなど実験的な投資が多く適正価格が読めないテスラに対し、幅広い実需を取り込むインテルの手堅さを独自の視点で分析
「介入・GPIF・利上げ」の合わせ技で円安は止まるか:原油高によるインフレ懸念が続く中、為替介入や年金マネーの動向が市場に与える影響を考察
大川道場「フジクラ」の行方は: データセンター向け光ファイバーの需要増でストップ高。過熱感はないものの、米コーニング社の動向注視が必要
Google好決算の裏で起きた「フリーキャッシュフロー赤字」の波紋
Google(アルファベット)の決算は、売上高や本業の広告収入が予想を上回り、特にクラウド事業は前年比82%増という非常に強い内容でした。しかし、決算発表後の時間外取引から同社株は大きく売られ、ナスダック全体を下落させる事態となりました。その最大の理由は、AIやデータセンターへの設備投資の大幅な引き上げと、それに伴う「四半期ベースで初のフリーキャッシュフロー(自由に使える現金)の赤字転落」です。また、自社AI「ジェミニ」の新モデル投入遅れも嫌気されました。
大川氏は「Google自体は潤沢な手元資金(ネットキャッシュ)を持つため、財務悪化を懸念して売るのは過剰反応だ」としつつも、市場は「MetaやAmazonなど、他のハイパースケーラー(巨大IT企業)も同様に投資負担で財務が悪化するのではないか」という連想から、業界全体の信用リスクを警戒して売りに走ったと分析しています。
悪材料が重なる半導体市場。「イケイケドンドン」からの転換
Googleショックの影響を大きく受けたのが、直前に株価が乱高下していたキオクシアをはじめとする半導体・メモリ関連株です。現在、半導体市場には複数のネガティブな要因が一気に噴出しています。巨大IT企業オラクルの巨額負債問題や、企業が将来の品不足を恐れて必要以上に買い溜めをする「仮需(過剰発注)」の懸念だけではありません。Appleが中国製の安価なメモリを調達する可能性や、高性能半導体を不要にする安価な「中国ムーンショットAI」の台頭、中国のメモリ大手「CXMT」のIPO計画など、中国勢の動向が市場を揺るがせています。極めつけは、ニューヨーク州での電力不足と電気代高騰を理由とした「データセンター建設の1年間禁止」措置です。
大川氏は、これまでのような「半導体なら何でも上がるイケイケドンドンの相場」は終わり、厳しい選別が行われるフェーズに入ったと指摘しています。
大川氏が「テスラ」を避け、「インテル」を評価する深い理由
銘柄の選別が厳しくなる中、市場を長年見てきた専門家はどのような視点を持っているのでしょうか。米国株において、大川氏が「昔から手を出したくない」と語るのがテスラです。自動車製造だけでなく人型ロボットの開発など実験的な取り組みが多く、投資資金がどこに向かうか読みにくいため、適正な企業評価が難しい点を理由に挙げています。一方で、同じハイテク株でもインテルについてはポジティブに評価しています。AI向けPCや従来のロジック半導体など幅広い実需を堅実に取り込む「総合半導体メーカー」として、その手堅さに注目しています。
「介入・GPIF・利上げ」の合わせ技で為替はどう動くか
マクロ環境に目を向けると、中東情勢の悪化により原油価格(WTI)が90ドルを超える水準となり、インフレと円安の圧力が強まっています。市場では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国内資産(日本株・国内債券)のウェイトを増やし、為替の押し上げ要因になるのではないかという観測が出ています。しかし大川氏は、「GPIFが動くとしても数年かけて段階的に行うため、短期的な為替の押し下げ効果は限定的(為替介入1回分程度)」と指摘します。
ただし、「為替介入」「日銀の利上げ」「GPIFの国内資産買い」という3つの実弾が短期間に合わせ技で発動されれば、市場のセンチメントが大きく変わる可能性もあると分析しています。
データセンターの恩恵を受ける「フジクラ」の行方
大川氏が個別銘柄をジャッジする「大川道場」のコーナーで取り上げられたのが、国内の電線大手「フジクラ」です。同社はデータセンター向けの光ファイバーケーブルなどで想定外の受注増と単価上昇があり、業績を大幅に上方修正して株価がストップ高となりました。
大川氏は「12ヶ月先の予想PER(株価収益率)は31倍程度で、決して割高な水準(過熱感)ではない」と評価します。Googleの投資拡大が示すようにデータセンター需要は本物であり、フジクラはApple向けにも基盤(プリント基板)を展開している強みがあります。ボラティリティは高くデイトレーダー向けの銘柄と前置きしつつも、実需の強さから業績の追い風は続くと予測しています。今後の行方を占う上では、提携先であり最大の競合でもある米国の「コーニング社」の決算動向を注視することが重要だとアドバイスしています。
より詳細な相場分析や、各企業の取り組みに対する専門家のリアルな視点については、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。
※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
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