はじめに

ネット証券か店舗か?安心して利用できる金融機関選びのコツ

筆者はお客様と一緒に口座開設の伴走をすることがありますが、気をつけているのは金融機関選びです。その際は、口座開設が簡単にできるかだけでなく、「その後も安心して利用できるか」という視点も重要だと思っています。

ネット証券は、自動翻訳機能を利用しやすいことや、自宅から手続きができることなど、多くのメリットがあります。

一方で、口座開設後には、各種お知らせや本人確認、セキュリティに関する重要な通知などが、日本語のメールで届くことも少なくありません。内容を見落としてしまうと、手続きが必要な場面で対応できなくなることもあります。

そのため口座開設後に金融機関から届くメールについては、翻訳アプリを活用したり、必要に応じて支援者に確認してもらったりするなど、定期的に確認する習慣をつけることをおすすめしています。口座を開設した後も無理なく管理できる環境は重要です。

障害のある方からも、「投資は難しいでしょうか」という相談を受けます。しかし、視覚障害や聴覚障害があること自体は、NISA口座を開設できない理由にはなりません。また、金融機関が確認するのは、障害の有無ではなく、契約内容を理解し、自らの意思で投資判断ができるかという点です。

例えば、音声読み上げソフトを利用する、筆談で説明を受ける、手話通訳を利用するなど、その人に合った方法で契約内容を理解できれば、口座開設が可能なケースは多くあります。2024年には障害者差別解消法が改正され、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。金融機関にも、それぞれの利用者に応じた対応が求められています。

一方で、金融機関によって対応には違いがあるようです。

ネット証券は利便性が高い反面、視覚障害のある方などにとっては、ウェブサイトやアプリのアクセシビリティが十分とはいえない場合もあります。そのため、店舗のある金融機関を選び、事前に電話などで状況を伝えたうえで、「どのようなサポートが受けられるか」を確認しておくと安心です。来店時の説明方法や必要な配慮について相談しておけば、安心して手続きを進められるでしょう。

最近では、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」という言葉が広く使われるようになりました。金融の世界でも、多様な利用者が安心してサービスを利用できる環境づくりが進められています。

しかし現場では、多言語対応が限られていたり、障害のある方への対応経験が十分ではなかったり、店舗によって対応に差があったりすることもあります。ぜひこれからは、どんな方であっても安心して投資に踏み出せるような環境整備にもより力を入れていただきたいところです。

投資は「自己責任」ではなく「自己決定」。一人で悩まないで

「投資は自己責任」と言われます。もちろん、自分のお金について自分で考え、判断することは大切です。

しかし、「自己責任」という言葉だけが独り歩きすると、「分からないなら投資をしてはいけない」「一人で判断できない私は向いていない」と感じてしまう人もいるのではないでしょうか。

でも、本当に大切なのは、一人で悩み、一人で判断することではなく、必要な情報を集め、必要な支援を受けながら、自分自身が納得して選択することです。

つまり、「自己責任」ではなく、「自己決定」です。外国人だから、障害があるから、十分な知識がないから、そんな理由だけで資産形成をあきらめる必要はありません。一人ひとりに合った方法で制度を理解し、伴走してくれる人と一緒に、一歩踏み出すことは十分に可能です。

資産形成は一部の人だけのものではありません。誰もが、自分らしく将来を選択できる社会であってほしい、筆者は、そのように願っています。

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