はじめに

サンヨーも生麺食感を出していた

実は、マルちゃん正麺の大ヒットに刺激され、サンヨー食品も生麺食感の袋麺「麺の力」を、「ラ王」発売翌月の2012年9月に発売していました。ですが、日清から特許侵害で訴えられたため、短期間で生産をやめたのです。

インスタントラーメンを作り方で大別すると、油で揚げて水分を飛ばす「フライ麺」と、熱風を当てて水分を飛ばす「ノンフライ麺」の2種類があります。生麺食感の麺はノンフライ、サッポロ一番やチャルメラはフライ麺です。

カロリーは当然ノンフライ麺のほうが低いので、ヘルシーではあるのですが、インスタントラーメンのヘビーユーザーの間には根強い「フライ麺信仰」があります。ブームの終焉とともにフライ麺が復権を果たしたということでしょう。

カップ麺では日清が圧倒的シェア

一方、カップ麺の市場は日清が他を圧倒しています。カップ麺の元祖は1972年に発売された日清の「カップヌードル」です。

日清の市場シェアは42.4%。実はカップ麺のジャンルには、うどんやそば、焼きそばなども含まれます。日清の4割を超えるシェアは「カップヌードル」と「どん兵衛」の2大ブランドの圧倒的な強さゆえでしょう。

2位は東洋水産。北海道限定で「やきそば弁当」というカップ焼きそばを出していて、道民のソウルフードとして有名です。普通のカップ焼きそばですが、麺の戻し湯で溶く粉末スープが付いているから「弁当」なのだとか。この上位2社で市場占有率は66%です。

3位は「スーパーカップ」のエースコックですが、2位との差は大きく開いています。東洋水産には「緑のたぬき」と「赤いきつね」という強力なロングセラー商品があるためでしょう。

4位は「一平ちゃん」の明星食品、5位がサンヨー食品です。袋麺では首位ですが、カップ麺は「カップスター」やサッポロ一番のブランドで出してはいるものの、力不足とみられます。

カップ麺にも革命的商品が現れるか

ここまでが上位5社で、市場占有率は88%です。6位に付けているのが「ペヤングソース焼きそば」のまるか食品。異物混入事件で2014年暮れから約半年間生産を中止していましたが、今は完全復活しており、ここまで含めると市場占有率は92.1%に達します。

今のところは市場シェアが固定化しているカップ麺市場ですが、袋麺におけるマルちゃん正麺のように、革命的な商品が売り出されれば、一転して激しいシェア争いが繰り広げられるかもしれません。メーカーにとっては息の抜けない状況ですが、私たち消費者にとっては新しい魅力的な商品に出合えるチャンスが増えることを意味しています。

中小メーカーがユニークな商品を多数出しているのも、この業界の特徴です。スーパーで目立つ場所に大きな面積を取っているのは主要メーカーの商品ですが、上のほうの目立たない棚にまとめて置かれているマイナーな商品も、じっくり観察してみてはいかがでしょうか。

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