はじめに

『SaaSは死なず』過剰警戒を払拭した弁護士ドットコムの急騰とソフトウェア株の見直し買い

2026年の2月以降、株式市場では「生成AIの登場により、自社サービスが代替されるのではないか」という過剰な警戒感から、ソフトウェア・SaaS(クラウド型サービス)企業の株価が不当に売られ続けていました。これを市場では「SaaS Is Dead(SaaSの死)」と呼んでいました。

しかし、電子契約サービス「クラウドサイン」などを手掛ける「弁護士ドットコム」が、安定的な売上・契約成長を示して株価が一時ストップ高(急騰)となったことで、市場のムードは一変しました。

大川氏は「そもそも、AIの導入はSaaS企業にとって『自社製品の付加価値を向上させ、開発コストを大幅に下げるプラスの効果しかない』というのが現段階での結論です。AIに駆逐されるという懸念は完全に的外れだった」と分析します。この過剰警戒の払拭(バリエーションの修正)によるソフトウェア株の見直し買いの動きは、米国市場と日本市場で全く同じように進行しており、関連株も大きくリバウンドを見せています。

大川道場:AI・半導体の裏方「ミスミグループ本社」の評価は?

動画後半の「大川道場」コーナーでは、機械部品の調達インフラやECサイトをグローバルに展開する「ミスミグループ本社(9962)」を取り上げました。同社は直近の決算で、AI・半導体向けの設備投資需要(サポート裏方)の回復を背景に、業績や配当予想の大幅な上方修正を発表し、株価が急伸しています。

大川氏は、同社のバリュエーションについて「予想PERは21倍、PBRは2.5倍〜3倍近くと、指標面だけで見れば決して割安とは言えない水準」とシビアに指摘します。しかし、その一方で「ミスミグループは、AIや半導体という最先端テーマの『縁の下の力持ち』として、地味ながらも強固な実需インフラを握っている。現在の市場テーマである『ハイテク・出遅れの再評価』という相場の潮目には完璧にマッチしており、中長期的なファンダメンタルズも強い」とジャッジ。一時的な過熱感による押し目には注意しつつも、実力のある優良な出遅れ株としての注目ポイントを挙げました。

お盆の薄商いと「イラン中東リスク」への構え。来週の見通し

お盆期間中、市場の取引参加者が減る「薄商い」の時期を迎えています。ボラティリティが突発的に高まりやすい局面において、大川氏が来週最大の警戒要因として挙げているのが、イランをめぐる中東情勢の動向(8月17日付近に期限を迎える停戦交渉など)です。

「もし週末から来週にかけて交渉が決裂し、地政学リスクが再燃すれば、高止まりしている原油価格が再び跳ね上がり、インフレ懸念がハイテク株の重石になるリスクがある」と大川氏。

また、来週の金曜日には日本の消費者物価指数(CPI)の発表も控えており、日銀の今後の追加利上げ見通しやドル円相場(155円〜160円のレンジ内での介入警戒など、投機筋の動きも含めて)を占う重要なイベントとなります。個人投資家としては、お盆の薄商いの中で突発的なニュースに狼狽売りをせず、企業の稼ぐ力(ファンダメンタルズ)に目を向けた「現物・分散投資」を維持することが、この波乱相場を賢く乗り切る鍵となりそうです。

より詳細な相場分析や、各企業の取り組みに対する大川氏のリアルな視点については、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

この記事の感想を教えてください。