はじめに

遠征費は全部自腹。それでもやりたいことがあるのは幸せ

ーーほかにもお金がかかることはありますか?

山崎:それ以上に大変なのが遠征費ですね。代表として世界大会に参加するなど、けっこうあちこち遠征するので、正直かなり痛い出費を強いられました。月2回の遠征で5~6万円は必要ですし、海外となれば30~40万円くらいはすぐ消える。舟も運ばなければならないので、ただの移動より大変なんですよ。経済的な理由で代表を辞退したこともあるくらいです。

ーーこれまでにかかった総費用はどれくらいですか?

山崎:たぶん1500万円くらいですかね。そう考えると恐ろしいですが、年間100万円に満たないと思えば、そうでもないんじゃないでしょうか。ギャンブルやお酒でそれくらい使っている人なんて、たくさんいるでしょ? その分、僕は充実した人生を送ってこれたと思うので、高いとは思わないですね。

ーーマイナースポーツだからこその良い点はありますか?

山崎:友達の輪が広がりやすいということですかね。競技人口が少ない分、全国どこへ行っても顔なじみばかり。海外の選手たちともすぐに友達になれます。同じマイナースポーツをやってる連帯感みたいなものがある。あと営業先で覚えてもらいやすい(笑)。誰も持っていない話題があるのはいろんなところで役に立ちます。

大切なのはライフワークバランス

ーーそれだけ熱中していて仕事に支障はないんですか?

山崎:なかったといえば嘘になります。実は以前、某商社に勤務していて、まったく自分の時間が作れなかったんです。代表に選ばれて海外遠征を申し出ても、上司にあっさり却下された。いったい何のために働いているのかと思い、カヌーポロの時間を作るために転職を決意しました。

今は広告代理店の営業職をやりながら、カヌーポロを楽しんでいます。趣味にのめり込んで仕事がおろそかになるのは本末転倒ですが、仕事のために趣味を全部犠牲にしてしまうのも生き方としてどうなのかな、と思うんですよね。そのバランスが今は上手に取れていると思っています。

ーー収入と趣味にかける出費のバランスも取れていますか?

山崎:そうですね。遠征費が嵩むと大変ですが、遠征しなきゃ味わえない楽しみもたくさんある。普通に趣味でカヌーポロをやる人であれば、僕ほどにお金はかからないはずですし、家計に無理なく楽しめる趣味だと思いますよ。

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