はじめに
年金受け取り開始までの生活費は2,340万円
ご相談者さんは公的年金を70歳から受給する予定です。その場合、55歳で退職してから70歳で年金を受け取り始めるまでには15年間のブランクが生じます。現在と基本的な生活費が変わらないと仮定した場合、15年間の生活費総額は156万円×15年=2,340万円になります。
FIREを目指しているので、この15年間はこれまでのような働き方はしない予定ではあるものの、「暇で辛ければ、週に3~4日、短時間働くつもり」ともおっしゃっています。退職後の旅行代金や習い事など楽しみのためのお金は、アルバイト収入などを充てることとします。
「生活費」の柱である公的年金は繰り下げ受給で42%増額
70歳からは年金を柱に生活費を考えます。順を追って、70歳からの手取りの年金額を計算していきましょう。
ご提示いただいた公的年金額は225.6万円(18.8万円×12カ月)ですが、これは60歳まで働き続けた場合の金額です。55歳で退職する場合には5年分減額します。ここでは概算で、197.4万円(225.6万円×35年÷40年)としておきます。
ご相談者さんは5年間の繰り下げ受給を検討しています。公的年金の繰り下げ受給には、年金の受給開始を1カ月遅くする毎に受給額が0.7%増額するメリットがあり、5年間(60カ月)繰り下げると42%増額できます。その結果、70歳からの受取額は年間280.3万円(197.4万円×142%)です。
ここから税金や社会保険料等を差し引いた後の手取り年金額を、試算ツールを使って計算すると、概算で年間238.5万円(月額19.9万円)になります。
70歳以降も今の生活を維持できるならば、年金収入が238.5万円(月額19.9万円)、年間支出が156万円(13万円)。基本的な暮らしは公的年金の範囲内でまかなえる計算になります。7万円近くの余裕が生じるので、それまでアルバイト等で補う予定のその他費用は、働かなくても補完できると考えていいでしょう。
「ライフイベント資金」や「リスク予備資金」はいくら必要か
ご相談者さんが想定している「大きな支出」には、「車の買い替え」や「家の修繕」、「国内外への旅行」があります。現在のご自宅や車の状況によっても予算はだいぶ変わりますが、車の買い替えが200〜300万円で1〜2回、家の修繕は水回りなどの内装が中心で300万円程度、外壁塗装や屋根の修繕など外回りが100万円×2〜3回というところでしょうか。
詳細は分かりませんが、ライフイベント資金の総額として、1,000万円の予算を確保しておきましょう。
老後の大きな心配ごとといえば、病気やケガによる入院や介護に備えるお金です。現在はご両親と助け合って生活できていても、10年、20年、30年と年数が進むについてそれが難しくなるでしょう。ご両親の医療費・介護資金はご両親の資産でまかなうとしても、ご自身のリスク予備資金は確保しておく必要があります。
生命保険文化センターの調査によると、介護一人当たりにかかる自己負担総額の平均は、542.2万円(月額9万円×55カ月+初期費用47.2万円)。ご相談者さんは医療保険に入っていないようですから、入院や手術への備えも確保しておいた方がいいでしょう。入院費用と介護への備えとして合計1,000万円を確保しておきます。