はじめに

急成長のコメ兵HD、海外は台湾・シンガポール・香港へ

コメ兵HDは2026年3月期に売上高2,217億円(同39.4%増)、営業利益92億円(同50.4%増)と過去最高業績を更新し、2027年3月期も増収増益を計画しています。第1四半期はさらに勢いを増し、営業利益は前年同期比4.0倍! しかし、決算発表翌日の8月14日にはそれまで期待で上昇基調だったこともあり、前日比8%安。一時5,000円を割りそうになりましたが、現在5,100円近辺で耐えています。とはいえ、年初来安値の2,858円(1月)と比べると、半年余りで約9割高い水準です。

海外では台湾・シンガポール・香港に現地法人を持つほか、8月には中国・上海で法人向けのセリ(オークション)事業を開始し、「日式」の目利き力を武器に市場開拓を進めています。7月には写真査定サービス「cashari」の運営会社を買収するなど、査定の効率化にも投資を続けています。

なお、2025年末に発覚していた子会社セルビーでの元経理責任者による着服事件(約1億円)について、2026年8月に本人の逮捕が報じられています。会社側の開示自体はすでに完了している事案ですが、ガバナンス面の一つの事例として押さえておきたいところです。連続増配も予定しており、成長と株主還元を両立させている点は引き続き評価したいポイントです。

業界がこぞって投資するのはAI査定

興味深いのは、規模の大小を問わず各社がAI査定に投資している点です。ゲオHDはブランド名や状態を入力すると適正価格を自動算出する査定システムを開発中、コメ兵は2020年から高級ブランドかばんや腕時計をAI鑑定してきた実績があります。

査定のスピードと精度が上がれば、経験の浅い海外の現地スタッフでも一定水準の買取価格を提示できるようになり、これが海外出店のスピードを支える基盤になっています。現地社員の育成についても、バリュエンスHDがロールプレイ形式で「日本式接客」を学ばせるなど、各社が接客品質の均一化に力を入れている点も共通しています。

3社を比べると、規模で選ぶならゲオHD、成長率の勢いで選ぶならバリュエンスHD、増収増益の安定感で選ぶならコメ兵HD、という色分けができそうです。

共通するリスクとしては、金・時計・バッグなど主力商材の相場が下落した場合の在庫評価損リスクや、海外出店の先行投資がどこまで利益に結びつくかという点が挙げられます。各社ともAIによる査定効率化と現地人材の育成を強みとして打ち出していますが、実際に海外店舗の収益性が黒字化してくるかどうかは、今後の四半期決算で継続して確認していきたいところです。

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