はじめに

──NISAの非課税メリットを生かすなら、ある程度リターンを期待できる資産を入れたほうがいい、と
そうですね。NISAには年間投資枠と非課税保有限度額がありますから、どの資産をNISAで持つかという視点は大切です。

──今後、オルカン以外の商品や個別株に目を向けるのはどうでしょうか?
それもいいでしょう。

AIがこれだけ大きく動いている中で、これから伸びる企業を発掘するのも面白いでしょうし、世の中には優れたアクティブファンドもあります。関心があるなら、やってみればいいと思います。

ただし、そうした「勝者を探す」アクティブ投資で何十年も勝ち続けられる保証はありません。20年以上にわたり世界各国のアクティブファンドとそのベンチマークのパフォーマンスを比較しているSPIVAのデータを見ると、オーストラリア、日本、カナダ、米国、欧州のデータを集計したグローバル先進国株式では、過去10年間でアクティブファンドの97%がベンチマークを下回っています。この数字からも、長期にわたってベンチマークを上回り続けることがいかに難しいかがわかります。アクティブファンドでは調査や運用などにコストがかかることも、長期的なパフォーマンスに影響する一因です。

したがって、長期の資産形成の土台は、オルカンのような商品で世界経済全体の成長に乗せておくことをおすすめします。そのうえで、「この企業は面白そう」とか、「大きく成長するかもしれない」というアクティブ投資は、余裕資金で補助的に楽しむのがいいでしょう。

市場の判断に委ねるのは思考停止にならない?

──オルカンは、どの国や企業が伸びるかを人間が予測して配分するのではなく、市場がつけた時価総額に応じて配分が変わります。このままだと、「これが市場の判断だから」と、それ以上投資について考えなくなってしまいそうです。それこそ思考停止ではないでしょうか?

思考停止と言う人もいるでしょうね。でも、私は「次にどの国や企業が上がるのかを予測し続けない」という意味での思考停止なら、悪いことだとは思いません。投資では、何を考えるかだけでなく、何を考えないかを決めることも大切です。そもそも、オルカンに投資する理由は長期の資産形成のためですよね。

自分で企業や商品を選んで勝者を探すアクティブ投資で10年、20年も勝ち続けるのは容易ではありません。しかも、「次はどの銘柄が上がる?」「相場はどうなるのか」などと考えているうちに、自分の大切な時間をどんどん投資に使うことになってしまいます。

皆さんの人生の主役って、本当に投資なんでしょうか?

私は、投資は人生の主役ではなく、あくまで脇役だと思っています。長期の資産形成が目的なら、世界経済全体に投資して、あとは市場の流れをじっと見守る。長期の資産形成という目的に限っていえば、非常に合理的な選択だと思います。

──「何もせず、じっと待つ」って意外と難しいですね
はい。結婚と似ているかもしれませんね(笑)。

「この人と一緒にやっていく」と決めたのに、毎日のちょっとした出来事で相手を替えるわけではないでしょう。長期投資も同じで、日々の値動きのたびに判断を変えないことが大切です。長期投資って、本来それくらい地味で退屈なものなんですよ。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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