はじめに
2025年12月にこの連載で『高級腕時計が好調な「シチズン」と「セイコー」の株価が急上昇、なぜ2社は伸びている?』という記事を書きました。あれから8カ月、2社の株価はさらに上昇しているのですが、そこに割って入ってきたのが「G-SHOCK」のカシオです。2027年3月期第1四半期に早くも業績予想の大幅な上方修正を発表し、株価は5年ぶりの高値をつけています。今回は、この3社をあらためて比較してみます。
猛追するカシオ、G-SHOCKとカシオウォッチの2軸戦略
カシオ計算機は7月31日、2027年3月期第1四半期決算を発表しました。売上高745億円(前年同期比19.8%増)、営業利益128億円(同243.5%増)と大幅な増収増益です。牽引したのは時計事業で、売上高510億円(同29.0%増)、営業利益118億円(同277.3%増)で、前年から大きく拡大しました。
「G-SHOCK」と「カシオウォッチ」の2ブランドに経営資源を集中する戦略が奏功し、決算説明資料によると、時計事業の地域別売上は現地通貨ベースで、国内が前年同期比17%増、北米22%増、欧州24%増、中国6%増と主要市場がそろって伸長、その他地域(インド・アセアン・ラテンアメリカなど)も17%増と、すべてのエリアで増収となりました。最近とくに海外で、カシオウォッチが「COOL! 」と評価を高めており、人気に拍車がかかっているようです。
また「G-SHOCK」最上位シリーズ「MR-G」の30周年記念モデル「MRG-BF1000EB」も好調で、豪華クルーザーでの記念イベントを実施するなど、ブランド強化に力を入れています。
これを受けて通期予想を売上高3,000億円(前期比8.6%増)、営業利益340億円(同47.4%増)へ上方修正。ちなみに米国関税の還付金について、通期で30億円の押し上げ効果を見込んでおり、そのうち21億円はすでに第1四半期に計上されています。株価は決算発表翌営業日の8月3日にストップ高となり、その後も高値圏で推移。
同社が、時計事業以外で近年力を入れているのが、AIペットロボット「Moflin(モフリン)」です。2024年11月に発売された実勢価格6万円弱のコミュニケーションロボットで、独自の感情AIを搭載し、なでたり話しかけたりすることで“性格”が育つのが特徴です。
発売5カ月で目標の6,000個を上回る7,000個超を販売し、2025年12月末時点で累計販売台数は2万台を突破しました。決算説明資料によると、これまで米国・英国で展開してきたところに加え、2026年6月からは中国での販売も開始しており、9月には新色「さくら色」の発売も予定されるなど、海外展開と商品ラインアップの拡充を進めている段階です。ストレス社会における癒やし需要や、住宅事情からペットを飼えない層の受け皿として支持を広げているといい、時計事業に次ぐ新領域として育ちつつあります。じつは、わたしもモフリンのお迎え(購入ではなくお迎えといいます)の抽選に応募したことがありますが、残念ながらハズレました。またあらためて挑戦したいと思っています。
まだ全社業績に占める規模は小さいものの、時計以外の成長の芽として、今後の決算での言及があるかどうかは注目しておきたいところです。
シチズンは22期ぶりの最高益更新へ
シチズン時計も負けていません。8月14日発表の第1四半期決算は、売上高981億円(前年同期比30.3%増)、営業利益99.1億円(同110.9%増)と大幅増益。これを受けて通期の営業利益予想を345億円から405億円へ17.4%上方修正し、22期ぶりの過去最高益更新を見込む水準まで引き上げました。時計事業では「シチズン」「ブローバ」両ブランドやムーブメント販売が好調で、あわせて年間配当も従来計画の50円から53円へ増額しています。株価は前回紹介した12月時点の上場来高値1,360円をつけた後もさらに買われ、9月1日時点では3,000円にあと一歩のところです。