はじめに

日銀の追加利上げと物価・賃金

図

日銀は金利の正常化と物価上振れの双方を見ています。6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げ、7月会合では同水準に据え置きました。7月は高田審議委員が1.25%程度への引き上げを提案しましたが、反対多数で否決されています。

植田総裁は9月を含む今後の利上げについて、経済・物価見通しの実現可能性や物価の上振れリスクを確認して議論する考えを示していると報じられており、同時に、これまでの利上げが経済に与える累積的な影響を慎重に点検する必要性にも言及しました。追加利上げを検討する姿勢は示されていますが、9月の決定が確約されたわけではありません。

ただ、日経新聞が「ベッセント米財務長官が8月30日に日銀の植田和男総裁と会談し、『円の大幅な過小評価に対処するため、日本が断固とした市場・金融政策上の措置を講じることを強く支持する』と語っていたことがわかった」と報じているように、9月利上げへの圧力はあるようです。

賃金・物価・家計の購買力と日銀判断

日銀の金融政策は、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に貢献することを目的とし、消費者物価の前年比上昇率2%を目標としています。FRBとは使命の表現が異なりますが、日銀が景気や雇用を見ずに物価だけで判断しているわけではありません。

個人投資家が確認したいのは、賃上げが続いているか、サービス価格に広がりがあるか、そして家計の購買力が改善しているかです。賃金が上がっても、それ以上に生活費が増えれば消費は伸びにくくなります。名目賃金だけでなく、実質賃金や消費の動向も合わせて見る必要があります。

円安や原油高も、一時的な要因として片づけることはできません。輸入コストの上昇が企業の値上げや家計の物価見通しに広がれば、物価上昇が長引く可能性があるためです。一方、コスト増が需要を冷やす面もあります。日銀は、その両方を見極める難しい判断を迫られています。

投資管理もマネーフォワード MEで完結!配当・ポートフォリオを瞬時に見える化[by MoneyForward HOME]