はじめに

株価が好調なら、借りられるお金は借りて投資したほうが合理的?

──「株価が長期的に上がると想定し、住宅ローンの返済期間を長くしたり、年金を繰上げ受給したりして、手元に残るお金を投資に回すほうが合理的」という考え方もあります。どう思いますか?

住宅ローンの返済期間を長くして手元資金を厚く持つこと自体は、家計の状況によっては合理性があります。しかし、借入額を増やし、その分を株式投資に回すのであれば、実質的には借金をして投資することにほかなりません。

住宅ローン金利より投資のリターンが高ければ得になる、という理屈はわかりますが、それはあくまで期待値の話です。ローンの返済は確実に続く一方、投資のリターンは確定していません。そのため、リーマン・ショックのような局面で運用資産が4割、5割と下落しても、ローンを返済しながら投資を続けられるのか。そこまで考える必要があるでしょう。

年金の繰上げ受給をして投資に回す場合は、また別のリスクがあります。繰り上げると年金額は生涯にわたって減額され、原則として取り消せません。長生きしても受け取り続けられる安定収入を減らして、値動きのある資産に振り替えることになるため、投資に回すことだけを理由に繰り上げるのは慎重に考えるべきです。

期待リターンだけを見るのではなく、「そこまでしてリスクを取り、お金を増やす必要があるのか」という視点も持っておいたほうがよいでしょう。

相場が大きく動いても、ぶれずに長期投資を続けるには?

──長期投資をしていても、急騰した株を見ると、「やっぱり買っておけばよかった」と思ってしまいます
そもそも、長期投資は競争ではありません。そうやって周囲ばかり見て、いったい誰に勝とうとしているんですか?

隣人が投資で儲かって豊かになったら、自分はそれ以上に豊かになりたい。そうやって他人と比べ始めることが、長期投資で失敗するパターンの一つだと思います。

だから、急騰した株を持っていた人が大きく儲かったとしても、「よかったね」でいいんです。

──とはいえ、株価が大きく動いたり、周囲で儲かった話を聞いたりすると気になります。ぶれずに長期投資を続けるには、どうすればいいのでしょうか?

あなたが見ているゴールはどこですか?

私は10年、20年先をゴールに見据えて長距離を走っているので、短距離走で勝っている人を見て「いいな」と思うことはありません。そもそも、走っている距離も目指しているゴールも人それぞれ違うものですから。

また、相場が動いたからといって、無理に売買する必要はありません。売却を考えるのは、株価が上下したときではなく、自分がお金を使う時期が近づいたときです。数年以内に使うことが決まっているお金は、一度にではなく、少しずつ現預金に移しておくとよいでしょう。長期投資をするなら、目の前の相場や周囲の成績ではなく、「自分のゴールはどこなのか」「いつお金を使うのか」を見ることが大切なんですよ。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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