はじめに

日米の株式市場では、中東情勢の緊迫化に伴う原油高や米国の金利上昇、さらに為替の変動など、投資家にとって判断の難しい局面が続いています。

マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」で配信されている「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツアナリストの大川智宏氏とDJ Nobby氏が、今週のマーケットの裏側をわかりやすく解説しています。

今回は、新型iPhoneの発表で話題を集めるAppleの戦略、半導体・メモリ価格の下落が最終製品メーカーに与える影響、中東リスクと為替・金利の行方、大川道場で取り上げる「スシロー」の評価まで、今後の資産形成に役立つ着眼点を紹介します。

【記事の要約】
・部品価格(半導体・メモリ)が下落傾向へ向かうことで、高価格帯を維持する「Apple」やゲーム株の利益率が拡大する展開が期待される
・中東情勢悪化に伴う原油高や米金利高が重石となる一方、GPIFの国内資産配分や海外ファンドの国債購入観測が円高方向への圧力となっている
・大川道場ではスシロー(フード&ライフカンパニー)を分析。国内外食は厳しい環境が続くが、海外売上比率の向上が長期的な成長の鍵と指摘されている

新型iPhone高騰の裏側。半導体・メモリ下落でAppleが「棚ぼた」を得るシナリオ

新型iPhoneの発表が話題を集めており、最上位の折りたたみモデルなどは30万円を超える価格帯が提示されています。一般的な消費者にとっては高価に感じられる水準ですが、世界的には根強いファン層が存在し、高価格帯でも一定の販売数量が見込まれています。

ここで注目すべきは、「製品価格が高水準に引き上げられた後、主要部品である半導体やメモリの価格が下落した際に何が起きるか」という点です。 足元では中国メーカーの台頭などにより、これまで高騰していたメモリ需給が徐々に緩む兆しが見られます。もし部品調達コストが下がれば、販売価格を高く維持しているAppleのような完成品メーカーは、コスト低下分がそのまま利益率の改善へと直結します。

さらに、自社で巨額のデータセンター投資(設備投資負担)を抱え込まず、サードパーティのインフラを活用しながらハードウェアの付加価値を高めるビジネスモデルも強みとなっています。半導体価格の下落は、任天堂などのゲーム関連企業やデジカメ、EVメーカーなどにとっても、製造コスト削減を通じた業績改善の追い風になる仕組みといえます。

中東リスクによる原油高と米金利急昇。為替相場に働く円高圧力の正体

マクロ環境に目を向けると、中東情勢の緊迫化に伴い原油価格(WTI)の上昇懸念が高まっており、インフレ再燃への警戒感が広がっています。米国の30年債利回りは4.95%付近まで急昇し、5%突破が意識される水準まで達しています。米財務省による長期国債の買い戻し(ベッセント・バイバック)の規模拡大が発表されたものの、市場の期待値が高すぎたために金利抑制効果は限定的となりました。

一方で、ドル円相場においては下押し(円高方向への)圧力が意識される材料が相次いでいます。 1つ目は、公的年金(GPIF)が国内資産(日本株や国内債券)の運用比率を引き上げるのではないかという観測です。構成ポートフォリオの調整に伴い、海外資産から国内資産へのシフト(円買い)が進む可能性が指摘されています。 2つ目は、ノルウェーの政府系ファンド(SWF)などが日本国債の購入を検討しているという噂です。 これらは経済のファンダメンタルズというよりは需給主導の動きですが、複合的な要因により、短期的には150円前半へ向けた円高方向への振れが起こり得る環境として捉えられています。

オラクル決算に見るデータセンター需要の伸びと、巨額負債のリスク

米国ハイテク株の動向では、データベース大手オラクルの決算が発表されました。クラウドインフラ(OCI)部門の売上が前年比121%増と異次元の伸びを示し、純利益ベースでも約3割増を記録しました。この結果は、データセンター投資が単なるバブルではなく、実際の需要(実需)に基づいて利益を生み出していることを改めて裏付ける内容となりました。

ただし、オラクル特有のリスク要因にも注意が必要です。同社は巨大IT企業(ハイパースケーラー)の中でも純有利子負債比率が突出して高く、フリーキャッシュフローは赤字が続いています。 本業のデータベース事業が伸び悩む中、巨額の借入によるデータセンター投資に依存する一本足打法の構造となっています。将来的に金利が高止まりした際、利払い負担の増加や設備投資の停滞が業績の重石となるリスクを孕んでいます。

大川道場:不祥事報道で下落した「スシロー」の評価と、外食株の成長条件

番組後半の「大川道場」コーナーでは、コラボ企画をめぐる不祥事報道などをきっかけに一時株価が下落したスシロー(フード&ライフカンパニー)が取り上げられました。

大川氏は、「企業本来の稼ぐ力(ファンダメンタルズ)に起因しない一時的なニュースで株価が下落する局面は、長期的な視点では押し目を拾う機会になり得る」と分析します。 ただし、国内の外食市場全体に目を向けると、少子高齢化や人件費・原材料高の影響により厳しい経営環境が続いています。8月のデータでは居酒屋やラーメン店の倒産件数が過去最多を更新するなど、二極化が進んでいます。

スシローやゼンショーホールディングスなどの大手が長期的に成長を維持するための決定的な条件は、「海外展開」です。中期経営計画などで海外売上比率35%以上を目指す企業は、インフレが浸透している海外市場でスムーズな価格転嫁(値上げ)を行い、高い利益率を確保できます。海外で稼いだ利益が国内サービスの品質や価格を支えるという好循環を作れるかどうかが、外食株を見極める重要な基準となります。

来週の見通し:米CPIと日米中銀会合を見据えた資産形成の構え方

来週は米国のCPI(消費者物価指数)発表や、日銀の金融政策決定会合、米FOMC(連邦公開市場委員会)など、重要なイベントが目白押しとなっています。 市場のボラティリティが高まりやすい時期ですが、個人投資家としては一時的な値動きに狼狽売りをせず、企業の稼ぐ力(ファンダメンタルズ)を冷静に見極め、現物での分散投資を維持することが波乱相場に対処するアプローチといえます。

より詳細な相場分析や、各銘柄に対する大川氏のリアルな視点については、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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