はじめに

【記事の要点】
・FOMCの全会一致による利上げ発表と堅調な米国経済指標を受け、米国の売上比率が高い「リクルート」や「ラウンドワン」に需要拡大の観測が出ている
・日銀が利上げを決定したものの、市場の予想やCPIの伸び鈍化から今後の大幅追加利上げ期待が後退し、為替は円安方向へ振れる展開となった
・三菱UFJなどのメガバンクは、国内金利だけでなくグローバルなM&A資金需要や企業ファイナンスに支えられており、中長期的な収益基盤を持っている

日米の株式市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)や日本銀行による金融政策決定を通過し、為替や金利の大きな動向に投資家の関心が集まっています。

マネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」で配信されている「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」では、クオンツアナリストの大川智宏氏とDJ Nobby氏が、今週のマーケットの裏側をわかりやすく紐解いています。

今回は、AI開発をめぐる最新の議論やSaaS企業の可能性、全会一致となったFOMC(米連邦公開市場委員会)と強い米国経済の実態、日銀利上げ後に拡大した円安の背景、大川道場で取り上げるメガバンク「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の見通しまで、今後の資産形成に役立つ着眼点を紹介します。


AI開発抑制論は「ノイズ」?SaaS企業と生成AIが共存・進化する未来

株式市場では、AI開発の急速な進展に対して「開発ペースを抑制すべきではないか」という声が一部のAI開発リーダーから上がり、不透明感が取り沙汰されました。しかし大川氏は、こうした議論は市場における「一時的なノイズ」に過ぎないと捉えています。AI技術の進化は業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れそのものであり、開発の潮流が止まる可能性は低いと見ているためです。

また、「生成AIの登場によって既存のSaaS(クラウド型サービス)企業が淘汰される」という懸念についても、大川氏は懐疑的です。実際には、蓄積された顧客データを保持するSaaSと、そのデータを活用して付加価値を生み出す生成AIは補完関係にあります。マネーフォワード MEのデータがChatGPTと連携して個人に合わせた試算や提案を行えるようになった事例のように、ソフトウェア企業にとってAIは自社サービスの利便性と単価を高めるツールとして機能しています。

FOMC全会一致の利上げと「強い米国経済」。米国比率が高い日本企業への影響

マクロ環境において最大の注目となったのが、FOMCにおける全会一致での利上げ決定です。直近の雇用統計や小売売上高の改定値・速報値が市場予想を大幅に上回り、米国経済の実態が想定以上に力強いことが証明されました。パウエル議長も単月のデータに翻弄されず、数ヶ月単位のトレンドを重視して物価抑制と経済の安定にコミットする姿勢を明確にしています。

通常、金利の上昇はハイテク株や成長株にとって資金調達コスト増加の逆風となります。しかし今回は「利上げを行っても景気が折れないほど米国経済が堅調である」という見方が広がり、株式市場は安心感を持って受け止めました。

この強い米国経済の恩恵を受ける存在として浮上しているのが、米国での売上比率が高い日本企業です。例えば、求人検索エンジン「Indeed」を展開する「リクルートホールディングス」や、米国内で複合エンターテインメント店舗を積極的に拡大する「ラウンドワン」などが挙げられます。堅調な個人消費や雇用情勢を追い風に、米国内での需要を取り込む企業への関心が高まっています。

日銀利上げでもなぜ「円安」が進んだのか?追加利上げ観測の後退

一方、日本国内では日銀が金融政策決定会合において0.25%への利上げを決定しました。しかし、発表直後から為替相場ではドル高・円安の進行に拍車がかかり、一時158円台まで円安が進む異例の反応を見せました。

利上げが行われたにもかかわらず円安が進行した背景には、複数の要因が存在します。第一に、市場の一部で0.5%への大幅利上げを期待する向きがあり、発表を受けてその反動が出たことです。第二に、政策決定において複数の委員が利上げに反対票を投じたことで、日銀内部でも意見が分かれている実態が浮き彫りとなった点です。

さらに、直近の日本国内の消費者物価指数(CPI)が1.7%と目標の2%を下回って低下傾向を示したため、「日銀が連続して大幅な利上げを行う動機付けは薄れた」との見方が広がりました。外部の政治的圧力や為替介入だけでは構造的な日米金利差を即座に埋めることは難しく、為替市場では金利差に着目した動きが継続しています。

大川道場:メガバンク「三菱UFJ」は国内金利だけに左右されない強みを持つ

番組後半の「大川道場」コーナーでは、DJ Nobby氏が最近購入したというメガバンク大手「三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)」の投資見通しについて取り上げました。

直近では日本の長期金利や日銀の姿勢をめぐり、銀行株の株価も一時的に利確売りに押されるなどボラティリティが見られます。しかし大川氏によれば、メガバンクの業績は単に「日本の国内金利」だけで決まるわけではありません。

現在、グローバル市場では企業によるクロスボーダーのM&A(合併・買収)や設備投資に伴う資金調達(ファイナンス需要)が活発に行われています。三菱UFJをはじめとするメガバンクは海外事業や国際的な案件組成に強みを持っており、世界的な資金需要を取り込んで本業の収益を伸ばせる構造を有しています。

国内の金利政策をめぐる短期的なニュースで株価が乱高下する局面があっても、世界規模での事業基盤と堅調な資金需要に支えられている点に着目することが大切です。

米経済指標と住宅関連データに見るトレンド

今週は米国の新築住宅販売件数や耐久財受注、ミシガン大学消費者信頼感指数などの重要統計が相次いで発表されます。高金利環境下における米国の住宅市場や個人消費の動向は、今後の景気シナリオを占う上で重要な先行指標となります。一時的な変動に一喜一憂せず、トレンドを見極めた現物・分散投資の姿勢を維持することが波乱相場に対処するアプローチといえます。

より詳細な相場分析や各銘柄に対する大川氏のリアルな視点については、ぜひマネーフォワード MEのYouTubeチャンネル「ME STUDIO」の番組「大川 & Nobbyの聴くだけ投資」でお楽しみください。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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