はじめに
ETF・個別株の選び方と投資対象の分散
では、実際に個人投資家はどのように準備すればよいのでしょうか。
ETFを活用した分散投資の考え方
まずおすすめしたいのが、購入候補となるETFや個別株をあらかじめリストアップしておくことです。例えば、米国株全体の成長を取り込みたい場合は、S&P500に連動するETFが候補になります。S&P500は米国の代表的な大型企業で構成される指数で、情報技術だけでなく、金融、ヘルスケア、資本財など幅広い業種に分散投資できます。
一方、情報技術セクターの成長をより積極的に取り込みたい場合には、ナスダック100や情報技術セクターに連動するETFも候補になるでしょう。ただし、ナスダック100は情報技術以外の企業も含む指数であり、情報技術セクターそのものとは異なります。
また、AIや半導体関連の成長に注目する場合には、半導体関連ETFも選択肢になります。ただし、半導体関連ETFはS&P500などに比べて値動きが大きくなりやすく、短期間で大幅に下落する可能性があります。
そのため、ポートフォリオの中心となる投資と、成長機会を狙う投資を分けて考えることが大切です。例えば、長期的な資産形成の中心にはS&P500などの幅広い指数を活用し、その一部でナスダック100や半導体関連ETFなどを保有する方法が考えられます。
個別株選びで重視したい財務健全性
2027年に向けては、情報技術以外にもヘルスケアや資本財など、利益成長が期待されるセクターに注目することで、投資対象を広げることができます。特に現在のように金利が高い局面では、企業の財務健全性も重要です。
借入金が多く、金利上昇によって利払い負担が増えやすい企業と、安定的なキャッシュフローを生み出し、財務余力のある企業では、同じセクターでも業績の安定性に差が出る可能性があります。
個別株を選ぶ際には、売上高や利益成長率だけでなく、営業キャッシュフロー、自己資本比率、負債水準、ROEやROICなども確認したいところです。
株価急落に備える購入計画と現金余力
株価が急落した場合に備えて、購入する価格帯や投資金額をあらかじめ考えておくことも有効です。例えば、購入候補のETFについて、現在の価格から10%下落した場合、15%下落した場合、20%下落した場合など、複数のケースを想定しておきます。
ただし、これらの下落率はあくまで投資計画を考えるための例であり、必ずその水準まで下落するという意味ではありません。株価が一定の水準まで下がったからといって、機械的に購入するのではなく、その時点の企業業績や金利環境を確認することが重要です。
一度にすべての資金を投入するのではなく、段階的に購入する方法も考えられます。例えば、投資予定額を3回程度に分け、最初の購入後にさらに株価が下落した場合にも対応できるようにしておく方法です。
この方法であれば、底値を正確に予想する必要がなくなり、購入価格を分散させることができます。ただし、買い下がりを行う場合には、投資対象の成長見通しが維持されていることが前提です。
業績の悪化や競争力の低下によって株価が下落している場合には、安易な買い増しが損失の拡大につながる可能性があります。
現金比率をある程度確保しておくことも、株価急落時の投資機会を活用するうえで重要です。相場が上昇していると、できるだけ多くの資金を株式に投じたくなることもあるでしょう。
しかし、すべての資金を投資してしまうと、株価が大きく下落した際に追加購入する余力がなくなってしまいます。特に2026年は、中間選挙に伴う政治的な不透明感に加え、金利や原油価格、AI関連企業の業績見通しなど、相場を大きく動かす材料が複数あります。
こうした局面では、株価の上昇を追いかけるだけでなく、急落時にも対応できる余力を残しておくことが、結果として投資の選択肢を広げることにつながります。
過去のデータが示すように、中間選挙後の1年が米国株にとって追い風になるのであれば、選挙に伴う株価急落は押し目買いの機会になると考えられます。
為替と年末の季節性を踏まえた米国株投資
さらに、米国株へ投資する日本の個人投資家にとっては、為替相場も重要です。
米国株が上昇しても、同じ期間に円高が進めば、円換算の投資収益が小さくなる可能性があります。逆に、米国株の上昇と円安が同時に進めば、円換算の投資収益が大きくなることもあります。そのため、米国株の季節性を活用する場合でも、株価だけでなく為替の影響を考える必要があります。
特に2027年に向けて、FRBの金融政策と日銀の金融政策がどのように変化するのかは、ドル円相場を考えるうえで重要な材料になるでしょう。ただし、為替相場の方向性を正確に予想することは難しいため、長期投資では購入時期を分散させることも一つの方法です。
最後に確認したいのが、米国株の月別パフォーマンスです。1990年から2024年までのS&P500の月別平均リターンを振り返ると、9月はマイナスとなる傾向が見られる一方、11月や12月は比較的強い傾向があります。
9月の平均リターンが約マイナス0.7%、10月が約プラス0.9%、11月が約プラス1.8%、12月が約プラス1.5%となっています。また、4月や7月も比較的強い月として知られています。

もちろん、季節性は毎年同じように現れるわけではありません。例えば、11月の平均リターンが高いからといって、毎年11月に株価が上昇するとは限りませんし、9月が弱いからといって必ず下落するわけでもありません。
それでも、中間選挙後の上昇傾向と、11月から年末にかけての季節性が重なることは、2026年末の相場を考えるうえで参考になります。ただし、季節性だけを根拠に売買するのではなく、企業業績や金利環境、株価の評価水準と組み合わせて判断したいところです。
この記事が皆様の投資の参考になれば幸いです。